2017/03/12(日)15:00〜

Google担当者が教える、書籍では語られることのない『Google Analytics』活用法—清水千年さんMARKETERS CAMP TOKYO vol.3

あなたの会社では、Web解析ツールを導入されていますか?また、その解析ツールをマーケティングにしっかりと活かすことができていますか?

Web解析ツール導入されている会社の多くは、数あるツールの中でも『Google Analytics(グーグルアナリティクス)』を使われているのではないでしょうか。

 

3月12日に行われたMARKETRES CAMP TOKYO vol.3では、グーグル合同会社マーケティングテクノロジー営業部シニアアカウントマネージャーとしてGoogleの『Google Analytics360スイート』の日本市場を担当されている清水千年さんをゲストとしてお迎えし、『Google Analytics』をマーケティングに活用していくためのノウハウとして最新機能や基本的なレポートの見方、実際に導入された企業の事例などをご紹介いただきました。

 

本レポートでは、『Google Analytics』初心者でも大丈夫!Googleの清水さんが直々に教えてくださった“ここだけは押さえておきたい”というポイントを中心に、セミナーの内容をご紹介していきます。

 

デジタルマーケティングと『Google Analytics』の歴史

清水さんは2008年にGoogleに入社後、Online Partnership Group で日本の大手ウェブメディア企業の広告収益改善のためのアクセス解析データを用いたコンサルティング業務に従事され、現在は『Google Analytics 360 Suite』の担当をされています。

まずは、デジタルマーケティングがどんな状況にあるのか。その中で『Google Analytics』はどんな歴史をたどってきたのかについてお話しいただきました。

モバイルを中心に、世界中のユーザーがインターネットにつながりやすくなったこの時代。

最近ではデジタルサイネージも発達していて、より精度の高いデジタルマーケティングができる状況になってきたと清水さんは言います。アメリカの調査では、人は1日に150回以上インターネットに接触しているとの結果が。つい最近のニュースでは、アメリカの一般的な成人の方が1日4時間以上アプリケーションに触れているとの結果も出てきているとのこと。2010年頃まではデジタル広告というと、PCやデスクトップにバナー広告やリスティング広告を出しておけばよかったという状況から、この5、6年ほどで一変。モバイルやタブレットだけでなく、IoTのプロダクトもマーケティングのツールとして活用されるようになってきたのだと言います。それにともないデジタルデータも増えてきていて、分析する手法もどんどん増えてきているとのこと。

 

そこでGoogleでは、Webサイトを分析するツール『Google Analytics』を提供しています。ただし、企業が持っている情報はオンライン上のものだけではありません。購買のデータやコールセンターのデータなどオフラインから得るものもあり、昨今ではそれらがオンラインのデータとつながりつつある状況と言います。

 

しかし、これに関してはまだまだ過渡期ということで、日本だけではなく、アメリカでも個々で情報が分断されていることが多いのだそう。例えば、営業のデータは営業の人しか見られなかったり、マーケティングの情報もプロダクトによっては見られる情報が違ったり。担当者にデータが紐づいていて、横軸でデータを見るのが難しい状況になっているのだそう。

 

そんな状況のなか、いくつかの挑戦的な企業では複数の部門にわたる情報を統一して分析を行い、自社のデータポートフォリオの最適化を図っているところもあるとのことですが、実践できているのはまだほんの一部の企業で、ほとんどの企業はオンラインのデータとオフラインのデータを結びつけることに苦労しているのではと清水さん。

 

Googleでは、そんな状況を変えるための“データの民主化”を進めようと、多くのサービスを提供しているとのことで、Googleが提供しているツールをご紹介いただきました。

 

まずは、ウェブサイトの分析を行う『Google Analytics』。その他にも、『Google Analytics 360 Suite』というツール群や、データビジュアライズツール『Google Data Studio』、さまざまなツールのタグを一元化するツール『Google Tag Manager』、ABテストのツール『Google Optimize』などがあります。これらは、『Google Analytics』の情報を収集して、レポーティングをして、実際の施策につなげるための流れをすべてカバーできるように展開されているとのこと。

 

また、有償にはなるものの『DoubleClick』や『Google BigQuery』などに連携することで、より拡張性の高い情報を提供できるそう。無償版でも『Google AdWords』という広告のプラットフォームと連携することが可能ということです。こうして、Googleはウェブ解析ツールという枠を越えてマーケティングのプラットフォームとして、企業がWebサイトを運用するためのサポートをし続けていくとのことです。

 

今現在の『Google Analytics』を提供できるようになるまでには、たくさんの進化があったという清水さん。どのようにウェブサイトの分析ツールが進化してきたのかを、赤ちゃんに例えて説明いただきました。

 

赤ちゃんは生まれた時、体重だけで表されます。

これが、幼児になると「90センチになりました」と、身長という情報が追加されます。小学生になると座高も計られるようになり、大人になれば脂肪値や血圧を測ったりと、成長するにつれてその人を表すデータがどんどん増えていきます。Googleのウェブ解析ツールも、このように人と同じような歴史をたどっているのだそうです。

 

最初は、ウェブサイトにどれくらいの人が来ているのかを単純に計測していく“Counter”の機能からその歴史は始まったとのこと。

そして、2000年より少し前に“Page view”という概念ができ、ウェブサイト全体に来た人数の計測だけではなく、どのページがどれくらい見られているのかというページ単位の分析ができるようになりました。

そして、2006年から2008年くらいにはユーザーが増えてきたこともあり、“Session”という概念が誕生。1回の訪問でユーザーがどんな行動をしているのかを、ページごとに見られるようになり、この時期に『Google Analytics』が生まれました。

 

2011年頃からは、1回の訪問の分析をするのではなく、1人のユーザーが複数回の接続を行うことを含めた分析をするために、“User”という概念が出てきました。

そして、最近では今まで別のデバイスからアクセスした同一のユーザーを複数のユーザーとして認識されていたのに対し、別のデバイスからアクセスしても1人のユーザーだという可能性も視野に入れた“Unique User”という定義が出てきたと言います。

そうして、2013年頃からはIDを軸にした1人のユーザーを特定するためのトラッキングツールやレポーティングツールを通じて、ユーザーの行動が盛んに分析されるようになってきたということです。このように進化をし続け、実際のリアルなビジネスに近いデータがとれるようになってきたのだそう。

 

ここで、『Google Analytics』の具体的な機能やサービスの1つとして、『Google Universal Analytics』についてご紹介いただきました。

これは、2012年頃にローンチしたツールで、Googleが発行しているCookieのデータに、クライアントが持っているユーザーのIDを紐づけることで、1人のユーザーが多数のデバイスでアクセスした、として分析するというもの。また、このツールはIDでつながっていればオフラインのユーザーの行動もトラッキングできるとのこと。なので、オフラインの購買情報などのデータをもとに、正確にターゲティングして広告を行うことができると言います。

 

『Google Analytics』を活用するために覚えておきたいこと

ここからは、『Google Analytics』のデータをどのように見ればいいのかについて基本的なことを教えていただきました。

『Google Analytics』における多くのレポートに実装されている200以上のレポートの基本的な概念について、いくつか説明いただくことに。

 

まずは、“指標”と“ディメンション”の定義について知って欲しいとのことです。

ディメンションは“行”のようなもので、具体的には、市町村や性別などがそれにあたるとのこと。

それに対して“指標”は数字で表されるもので、“列”のようなもの。“Session”数や“Unique User”数などがそれにあたるそう。わかりやすく言うと、「100メートル走を10秒で走りました」というデータがあるとしたら、“100メートル走”が“ディメンション”。10秒が“指標”だということです。

 

次に説明いただいたのは、“Page view”、“Session”、“Unique User”の違いについて。

 

たとえば、ユーザーAとユーザーBがいるとして、あるウェブサイトに4日間のうちにその2人のユーザーが何度か訪問したとします。

ユーザーAの“Page view”数は、1日目に1、2日目に2。

ユーザーBの“Page view”数は、1日目に1、3日目に2、4日目に3、とします。

ちなみに、これらの訪問数は30分以上ユーザーの動きがないとリセットされてしまうとのこと。例えば、午前に1回、午後に1回訪問した場合には1日の“Session”数は2になる一方で、30分以内に2度訪問した場合、1日の“Session”数は1になるのだそう。

この場合、“Page view”数は数字をすべて足した9に。

“Session”数は、訪問した回数なので5。“Unique User”数は、人数をそのまま反映するので2に。

 

当たり前ではあるもののこの定義は、『Google Analytics』を活用する上で基本的なものなので、きちんと覚えてほしいということです。

そして、今日のポイントとしてご紹介いただいたのは“スコープ(分析範囲を設定)”について。

これは、トラッキングコードを発行して、それをアプリに組み込むことで、アプリで取れるデータを『Google Analytics』に送っています。

このスコープという概念を使って、分析範囲を設定することで、ユーザーごと、セッションごと、ヒットごとの分析が可能になります。

 

“ユーザースコープ(ユーザーという切り口で分析範囲を設定)”は、ユーザー固有のIDを照合し、個別のユーザー単位で分析を行うというもの。

“セッションスコープ(セッションという切り口で分析範囲を設定)”は、同一のセッション単位で分析を行うというもの。

“ヒットスコープ(ヒット(=ページ)という切り口で分析範囲を設定)”は、ユーザーの行動(例えば、ある特定のページ)単位で分析を行えるというもの。

 

この“スコープ”という概念は普段あまり意識するものではないですが、これを使ってカスタムレポートを作ることでより詳細な分析を行うことができます。

なので、これを知らないと本当に自分がほしいデータをとることができなくなってしまうとのことなので、“スコープ”には“ユーザースコープ”、“セッションスコープ”、“ヒットスコープ”があることを覚えてほしいということです。

 

基本的な部分をご説明いただいたところで、ここからは『Google Analytics』を活用したアクセス解析の基本となる4つのレポート項目について教えていただきました。

『Google Analytics』には大きく分けて“ユーザー”、“集客”、“行動”、“コンバージョン”の4つのレポートがあり、それらに紐づいてそれぞれ30くらいのレポートがあるとのこと。“ユーザー”レポートでは、例えば、どんな人がどんな興味を持って、どの地方からどのくらいサイトにアクセスしているのかがわかります。

“集客”レポートでは、ユーザーがそのWebサイトにどうやって来たのかがわかるもの。例えば、Googleのトップページから自然検索して来ているのか、アプリなどを通じて来ているのか、など。

“行動”レポートは、Webサイトに来たユーザーがそのサイト内でどのページを見て、実際にどんな行動を起こしているのかがわかるもの。

最後の“コンバージョン”レポートは、ユーザーがどこから来てサイト内でどんな行動をとったのか、そして目標(たとえばECサイトなら購入)に達したのかがわかるもの。

この4つが『Google Analytics』のレポートの軸になっていることを覚えてほしいとのこと。最終的にはこれを、PDCAサイクルでまわしてマーケティングに活用していってほしいと話しました。

情報を拡張する、メジャメントプロトコル機能とデータインポート機能

ここからは、『Google Analytics』の基本画面を見ながら、使い方について説明していただきました。画面の左側に並ぶ“ユーザー”、“集客”、“行動”、“コンバージョン”の4項目。

この中で注意したいのが、“集客”と話します。

2013年頃から『Google Analytics』では、プライバシーの問題で、自然検索の際の検索ワードを情報としてとれなくなったとのこと。その結果、つぶれてしまったSEO系の会社もあるとか。『Yahoo!』でも、昨年までは自然検索のワードを情報として見ることができたのですが、今現在は見られないようになったとのこと。なので、現在日本では自然検索のワードを情報として見ることができないのだそう。

 

その補足のツールとして、『Google Search Console』があります。

これを使えば、ざっくりとした情報ではあるもののそのWebサイトに来るまでにどういったワードで検索されているのかがわかるのだそう。これを『Google Analytics』と連携することで、あるキーワードでは1万回ほど、またあるキーワードでは2万回ほど表示された、という情報がわかるとのこと。『Google Analytics』を使っている会社で、『Google Search Console』と連携させていないところがあれば、すぐに連携させてほしい、ということです。

 

また、“コンバージョン”のレポートについて、ECサイトではない場合でも、コンバージョンレポートの対象となる目標を設定することはとても重要だという清水さん。その時、新聞社などの場合にはニュースをたくさん読んでもらうことが目標であって、特定のページを見てほしいというものはないはずです。ブランド系の企業も、商品を買ってもらうことではなくブランドの認知拡大が目標であることも。その場合、『Google Analytics』では5ページ以上見たユーザーや、5分以上見たユーザー、というように行動のシークエンスを目標に設定することもできるので、自社に合わせた目標設定をしてほしいということです。

 

これまで紹介してきたデータは、『Google Tag Manager』に埋め込めば見ることができますが、プラスαとしてデータインポート機能とメジャメントプロトコルという機能があるとのこと。この日は、無償版、有償版問わず活用できるポイントを紹介してくださいました。

 

まずは、メジャメントプロトコルという機能について。

これは『Google Universal Analytics』という新しいツールがローンチされた際にできたもの。これは、IoTやアプリケーションの増加にともなって、『Google Analytics』から得るデータ以外のデータも扱わなければいけない状況も増えてきたため、それを補うものとして誕生したのがメジャメントプロトコルだそうです。たとえばEC系の会社の場合、Webサイトから得るデータだけではなく、アプリケーションや実店舗から得るデータなど、いろいろなデータを持っています。ここで“メジャメントプロトコル機能”を使うことによって、『Google Analytics』の情報として見ることができるそうです。

実際に、“メジャメントプロトコル機能”を活用している企業の事例として、海外のコーヒーメーカーの例を紹介していただきました。

この会社では、“メジャメントプロトコル機能”を利用することで、1日にどの地域の、どのオフィスで、どれくらいコーヒーメーカーが使われているのかをデータとして取り込むことができるようになったとのことです。

 

もう1つの機能の“データインポート機能”ついては、他のツールなどですでに計測されているデータを、ユーザーIDを軸に『Google Analytics』へ紐づけるソリューションとして紹介。

たとえば、ある店舗で100人のユーザーが商品を買ったという情報を『Google Analytics』に紐づけることで、どこの誰がその商品を買ったのかを知ることができるなど、情報をこれまでよりも拡張できるとのこと。清水さんによると、今現在先駆的な会社の2、3割がこの機能を導入されているのだそう。

 

『Google Analytics』を活用した日本企業の事例

ここからは、日本の企業が『Google Analytics』をどのようにマーケティングに活用しているのかをご紹介いただくことに。その上で、以前から組織やセクションをまたいだデータ活用ができないかと考えられている会社が多いのでは、という清水さん。

そこで、『Google Analytics』を導入することで、組織を横断してデータ活用ができるようになった例として『AbemaTV』さんをご紹介いただきました。

『AbemaTV』は、ザッピングで見ることができるインターネットテレビサービス。つい最近、清水さんが『AbemaTV』についてGoogleのブログ内で紹介されたとのことで本セミナーでもシェアしていただきました。

 

その1↓

https://analytics-ja.googleblog.com/2017/03/abematv-google-360-tv-1.html

その2↓

https://analytics-ja.googleblog.com/2017/03/abematv-google-360-tv-2_10.html

これらの記事を読んでから見てほしいと前置きをされた上で、『AbemaTV』のご担当者が作成されたスライドもシェアしていただきました。

https://www.slideshare.net/MorikazuSuma/abematv-google360

『AbemaTV』は、2016年4月に開局され、その数ヶ月前からどういったトラッキングをすべきか悩んでいたところで、清水さんらに相談をされたとのこと。『AbemaTV』は、これまでのオンデマンドの動画配信サービスとは違い、『AbemaTV』は登録無料のザッピングしながら(チャンネルを頻繁に変えながら)見る形式。さらに、生放送で見られるサービスです。世界中を見ても先行事例がなく、数ヶ月かけてしっかりとレポーティングやトラッキングを行っていったのだそう。ユーザーがどのような行動をとるのかを集約して、目標とするユーザーの行動を設定し、逆算していったと言います。

 

その中で、『AbemaTV』さんが今回1番重要なこととして考えたのは、ユーザーがサービスを満足して使ってくれて、再訪してくれるのかどうか。ユーザーが満足するためには、ユーザーがサイトに来て、番組を探して、番組を見つけ、その番組を視聴する必要があります。

そこで、番組を探すという観点から考えると、番組の宣伝や番組表をきちんと閲覧したかや、どれくらいザッピングをして目当ての番組にたどり着いたかが非常に重要になってくるのだそう。

そうして、実際にユーザーが求めていた番組にたどり着くことができたのかを『Google Analytics 360 Suite』を導入して数値化。各ユーザーの行動を逆算することで、どこにKPIを設定するのかをマッピングしたとのこと。

ユーザーが満足したかを数値化することは非常に難しかったそうですが、視聴時間が3分なのか、5分なのか、10分なのかをユーザーのサイト内の滞在率と結びつけて分析、その結果、5分以上番組を視聴しているユーザーは満足しているとの分析結果を生み出し、そこにKPIを設置したとのこと。

ただし、このKPIを設定しただけでは、ビジネスとして成立しません。

このKPIを他部署、他セッションとも共有して実際の行動に移さないと意味がない、と清水さん。『AbemaTV』さんはそれをしっかりと行ったことで、2016年4月の開局以来、今年の1月で累計1300万ダウンロードを記録し、急成長を遂げているのだそう。

この他にも、いくつかの事例を紹介していただき、後半は実際に『Google Analytics』上のレポートを見たり、実際にレポーティングを行いながら『Google Analytics』を実践。参加者はすぐに日々の作業に取り入れられる実用的な学びを得ることができたのではないでしょうか。

 

また、最後にヘルプセンター(https://support.google.com/analytics/#topic=3544906)やアナリティクスアカデミー(https://analytics.google.com/analytics/academy/)についてご紹介いただき、『Google Analytics』を中心としたツールについてわからないことがあれば見てほしいと清水さんはおっしゃいます。みなさん、ぜひこういったサービスをフルに活用して、『Google Analytics』をマーケティングに活用されてみてくださいね。

 

次回のMARKETERS CAMP TOKYO vol.4では、アライドアーキテクツ株式会社の藤田和重さんをお呼びして、『1人でも成果が出せる!Instagramマーケティングセミナー』と題した講座を行っていただきます。次回も、そのノウハウをご紹介するレポートを公開する予定ですので、ぜひお楽しみに!