2016/11/17(木)19:30〜

人間力まで養える!?オトナがハマるボードゲームの魅力とは? -「オトナのためのボードゲームナイト」レポート

11月17日(木)、Media Technology Lab(以下、MTL)Cafeにて、MTLが提供するスケジュール調整ツール「調整さん」によるイベント「オトナのためのボードゲームナイト」が開催されました。

今回のイベントはボードゲーム界のエキスパートをお招きし、その魅力について語っていただき、参加者みんなでボードゲームを体験し、ゲームを通して楽しく交流するイベントです。

イベントMCにボードゲーム大好き芸人・いけだてつや氏をお招きし、会はスタート。

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いけだ氏は、人力舎所属の芸人さん。2010年にそれまで活動していた「三福星」というお笑いトリオを解散したのち、ピン芸人として活動。2016年8月放送の『アメトーーク!』の若手芸人プレゼン大会にて、「ボードゲーム大好き芸人」と題してプレゼンするなど、お笑い界でもボードゲーム好きで知られています。

早速いけだ氏の進行のもと、まずはボードゲームのエキスパートによるパネルディスカッションがスタート。
パネラーとして、東京・高円寺にある国内最大級のボードゲーム・カードゲーム専門店“すごろくや”代表取締役の丸田康司氏、東京と福岡で4店舗展開中のボードゲームカフェJELLY JELLY CAFEオーナーの白坂翔氏、ボードゲームソムリエとして活躍中のボードゲームデザイナー松永直樹氏の3名をお招きし、ボードゲームの魅力についてパネルディスカッション形式で熱烈トークが繰り広げられました。

最初のテーマは、「ボードゲームの面白さ」について。

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ボードゲーム専門店を営む丸田氏は、ボードゲームはより手軽に大勢で遊べる点がテレビゲームと違い、面白いといいます。最近は「いちゃいちゃツールなんですよ~」と説明することもあるようで、異性、同性に関わらず、ボードゲームひとつで普段のコミュニケーション以上により突っ込んだ交流、“いちゃいちゃ”できるのが面白いとお話いただきました。

ボードゲームカフェの白坂氏も丸田氏同様、ボードゲームは人と対面して遊ぶので、知り合い同士はより仲良くなり、初対面は比較的すぐに打ち解けることができるのが良さであり、面白さだといいます。ゲームによっては、相手の気持ちを読み取ることや、プレイヤーの行動を観察するため、より相手のことを知ることができるとのことでした。

それを聞いたいけだ氏は、たしかに相手のことがよくわかるので逆に「私は2、3人、ボードゲームで友人を失った」と付け加え、会場の笑いを誘いました。

またボードゲームソムリエの松永氏は、日本でボードゲームというと「人生ゲーム」や「すごろく」のようなものを指すことが多く、そのほとんどがサイコロやルーレットの出た目で進む、運次第のゲームだったり、またよく知られる将棋やチェスのような戦略性しかないゲームが多いですよね。でも、今日ここで話されている「ボードゲーム」というのは、海外のものが多く、それらは運と戦略がバランスが良く組み込まれています。そのため、初めてプレイをすると感動させられるもの、そのゲームシステムに感心するほど良くできているものが多く、そういった新体験ができるのも面白さのひとつだといいます。

「ボードゲームなのにボードを使わないゲームもありますよね」といういけだ氏の問いに丸田氏は、実はボードゲームの定義は難しく、人によっては「テーブルゲーム」といったりするが、ややこしいので、みんなでワイワイ集まって楽しく遊ぶゲームをざっくりと「ボードゲーム」と呼んでます、とのことでした。
またこの手のゲームが元々ドイツのゲーム作家が考案したものが世界中に流行ったことから、’80年代、’90年代はこれらを「ドイツゲーム」と呼んでいる人もいましたが、今は日本を始め、他国からも続々と新作が考案されていることから「日本で生まれたドイツゲーム」のようなおかしな話になってしまうので、2000年以降の近代のゲームは、ただ「ボードゲーム」と呼ばれることが多くなったといいます。

そんな、世界中のボードゲームの面白さを知ってもらおうと、次は、エキスパートのみなさんに、それぞれ「これは面白い!」と思うボードゲームをご紹介いただきました。

まずは白坂氏ご推薦のゲームから。
最初の1本は、「INTRIGUE(イントリーゲ)」。これは交渉と裏切りのゲームで、今ではかなり品薄で手に入りにくいゲームなんだそうですが、なんと本日いけだ氏も持参していました! さすがですね!

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ゲーム内容は、自分の手持ちの駒を他のプレイヤーの施設に雇用してもらうために、交渉したり賄賂を贈ったりしながら、雇ってもらう約束を取り付けます。うまく雇ってもらえるとそれが毎回収入になります。が、約束を無視してもいいというルールもあり、相手に内定を出しつつも、他のプレイヤーの動向を見ながら、内定を取り消して賄賂だけをいただいてしまうという裏切りもできます。政治的交渉を繰り返し、雇い雇われ、他人を蹴落とし自身の収入だけを増やしていくというゲーム、と紹介。いけだ氏はこのゲームをきっかけに友人を失ってしまったそうなので、あくまでもゲームとして割り切ってやらないと、本気の喧嘩になりかねないので注意が必要とのことでした。

続いて「知ったか映画研究家スペシャル!」という日本人が考えたゲームのご紹介。
こちらのゲームでは、まずたくさんあるお題が書かれたカードをサイコロで選び、そのカードを組み合わせて架空の映画のタイトルを決定します。タイトルが決まったら、みんなでその架空の映画について知ったかぶりをして、映画の内容について徹底的に語り合う、大喜利的なゲームです。昨今、こんな大喜利ゲームが流行っているんですが、実は大喜利ゲームは初心者にはハードルが高いため、プレイする人を選びますが、「知ったか映画研究家スペシャル!」は誰も知らない映画について語り合うので、結果としてすべての意見を肯定することしかできなくなるため、終始「いいですね~」という会話で和み、盛り上がるとのことでした。

続いてボードゲームソムリエの松永氏が選んだ面白ゲーム1本目は、「カルカソンヌ」。
このゲームは松永氏自身が初めて出会ったボードゲームで、自分も非常に楽しまれたとのことでオススメの1本を選ぶときには、必ずこれを紹介しているとのことでした。
ゲームはフランス南部、古代ローマ時代の要塞都市カルカソンヌをモチーフとしているゲームで、お城や要塞都市を作るのが目的。ゲームが進み、都市が大きくなってパネルが広がっていくさまは見ていてとても美しく、ボードゲーム初心者も上級者も一緒に楽しめるゲームとのことでした。

また、松永氏は最初に遊んだゲームを紹介するほかは、常に最後に遊んだゲームを紹介しているそうですが、今回は「たほいや(ディクショナリー)」というゲームを紹介してくださいました。
「たほいや」は実際に広辞苑に載っている言葉。このようなほとんどの人が意味を知らないこのような言葉を選び、辞書の正しい説明文とゲームの参加者がでっち上げた嘘の説明文を混ぜて、その中から正しい説明文を探し出す辞書を使ったテーブルゲームで、以前、テレビで深夜番組として放送されていたこともある有名なタイトルの紹介でした。

丸田氏がご紹介するのは、1本目は「リッチモンド貴婦人」。
実は最新作なのであまり知られていないゲームなんだそうですが、今一押しのゲームだそうです。
内容は、リッチモンドという名前のおばあさんが死んで、数多くの遺品を残したところから始まります。遺品は価値ある物からそうでないものまでいろいろあり、これらをオークションで競り落とすゲームなんですが、ゲームの途中で持ち金が4回ぐらいリセットされるので、入札タイミングがポイントになるそうです。また自分の持っている遺品と他の遺品とを交換できるカードがあり、価値ある遺品にみんなが高額な金額を張って入札しているところで、そのカードを使って遺品を交換し、誰かに損害を与え、ゲーム流れを変えるといった駆け引きもあるとのこと。丸田氏曰く、かなりえげつない展開になり盛り上がるとのことでした。

もう1本は「13諸島の秘宝」というゲームで、こちらは丸田氏のお店「すごろくや」でゲーム大賞(2015年)に輝いたゲームとのこと。
ゲームは、溝や穴が開いているかなり大きめのボードを使い、それをよけるように自分の指で飛行船を動かしながら宝などを見つけ出すゲームなんですが、その飛行船を動かす際に、ボードが見えない状況で操作するため、いつ溝や穴に落ちるのか見ている側もドキドキはらはらのゲームなんだそうです。

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以上で、パネラーの方のオススメのゲームの紹介は終了。

トークセッションは「今、ボードゲームは盛り上がってきているのか」へ話題が移りましたが、実際には「そうでもないのでは?」とお三方は共通の見解でした。

丸田氏は「確かにテレビや雑誌などで話題として取り上げられているが、一部では盛り上がってはいるもののブームとはいえず、みんながみんなボードゲームをやっているわけではない」と冷静に分析。
白坂氏も「ここ数年ボードゲームカフェが増えてはいるが、ボードゲーム人口がその数に追いついていない。そろそろカフェも飽和状態、経営が厳しくなるお店も出てくるのではないか?」といいます。
その一方で松永氏は「自分がボードゲームを始めた2000年前半の頃はネット通販もなく、ボードゲームを買うにしても海外から自分で輸入しなければならなかったり、またゲームの翻訳も今ほど進んでいなかったので、それに比べれば、今は手に入れやすくなっているので、ボードゲームを楽しむ環境はかなり良くなったとは思います」と話しました。
白坂氏は「僕はブームというよりは文化として根付かせたいと思っているので、メディアがブームだといって取材をしているうちに、それに乗っかって、どんどん取材は受けたいとと思っています」と語ってくれました。時々テレビなどでの話題がSNSで拡散されたり、有名人がひと言つぶやいて盛り上がることはあるが、ボードゲームの市場はまだまだ発展段階で、定着するかどうかはこれからなのではないか? と、このセッションでは結論づけました。

ここでトークセッションは次のお題「ボードゲームでどんな力が養えるのか」へ。
ビジネス的に社会人としての力は養えるのか? という問いに白坂氏は、「僕が企業の研修等に招かれたとき、例えば営業の方には、交渉力が必要な『カタン』などのゲームをオススメして遊んでもらいます。交渉力というより人間力が必要なゲームなので、いかに相手の状況を見て交渉を進めていくかが試されるので、営業力を鍛えるのに多少役立つと思います」という実例をお話いただきました。
社会人としての力という意味で松永氏に何かないでしょうか? という質問に続いて松永氏は、「最近は協力しあうゲームもあるので、チーム力を上げるのにもいいのではないでしょうか。有名なゲームで、世界中に広がる感染症を撲滅する『パンデミック』というゲームがありますが、協力し合わないと目的が達成できないので、チーム力を向上するのに向いていると思います」と話すと、いけだ氏が「僕の友人の友人に、『パンデミック』というゲームをプレイしたために、医学部を目指しはじめて勉学に励んだ」というエピソードも披露してくださいました。

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また子供の教育に役立つゲームもたくさんありますよね、という問いかけに丸田氏は「教育というと、つい算数ゲームみたいな話になっちゃいますが、実際には普通のボードゲームにも中期、長期的で物事を考える力や、確率を計算するような能力も養えるものがたくさんあるので、そういう意味で勉強になるゲームのほうが長続きしますよね」というお話をいただきました。

トークセッションの最後は「ボードゲームに関する質疑応答」の時間です。

最初にいただいたのは「初めてボードゲームをやる初心者にはどんなゲームがオススメですか?」という質問でした。

丸田氏は「初めてだからといって簡単なゲームを勧めるかというと、それで気に入ってもらえない可能性もあるので、その人を理解した上でゲームを選ぶのが重要です。考えるのが好きな方には多少難しいゲームを最初に遊ばせるのもありですね」といいます。「『イチゴリラ』、『ディクシット』、『カルカソンヌ』の3つをそろえておくと無敵ですよ、と僕はいってます。もしくは『ハゲタカのえじき』ですね」というアドバイスをいただきました。

白坂氏は「うちはお店に遊びに来た初心者の方には、時間のそれほどかからないゲームをオススメします。まずは5分、10分で終わるゲームを1回やってもらい、その感想を聞いた上で、次はもう少し時間のかかるゲームをオススメします。割と面白いといってもらえるヒット率が高いゲームは、カップルだと『ガイスター』というゲーム。複数人だと先ほど出た『ハゲタカのえじき』とか『ごきぶりポーカー』という手軽に駆け引きができるゲームを勧めています」といいます。

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松永氏は「僕もかなりの初心者にゲームをオススメしていますが、やはり『ハゲタカのえじき』は評価が高いですね。ただこれは5、6人集まらないとできないので、人数が少ないときは『カルカソンヌ』をオススメしますね。これがツートップかなと思います」という回答をいただきました。

ちなみにMCのいけだ氏は、『チャオチャオ』というゲームがオススメだそうです。このゲームは振ったサイコロの目を申告する際にウソをついてもいいゲームで、芸人同士で遊んでいるとだんだんウソをつくのに芝居がかってきて、30分で終わるゲームが2時間ぐらいかかってしまうぐらいに盛り上がるんだそうです(笑)。

続いては、ボードゲームの大会について。「ゲームの競技人口を増やすために大会をやるといいと思うんですが、みなさんどう思いますか?」というご質問でした。

これについて丸田氏は「しっかりと背筋を伸ばしてゲームをプレイしたいという気持ちがあるので、そういう意味では大会もやってみたいですね。ただ一方で、ボードゲームで“いちゃいちゃ”したいのもあるので、そのバランスが大事だと思います。競技というかイベントはやってみたいと思いますね」とのことでした。
白坂氏は過去にお店で大会も開いたことがあるそうで、「以前ですと『ドミニオン』大会、最近では『街コロ』大会といったトーナメントで優勝者を決めるといったイベントを開催したこともあります。うちのお店ではライトユーザーを増やしたいというのもあるので、経験者ばかりが集まってしまうような大会よりは、まだやったことがないゲームの大会をやっていきたい気持ちの方が強いですね」と話されたのが印象的でした。

いくつかの質疑応答が続いたのち、いよいよ参加者全員でボードゲームを体験する時間となりました。今回みんなで体験するゲームは、『ベストフレンドS』と『ハゲタカのえじき』の2本。みんなでプレイする前に、まずはルール説明も兼ねてパネラーのみなさんといけだ氏に実演をしていただきました。

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ベストフレンドS』は、出題者の感性を想って喜ばせる、温かい気持ちで「新密度を上げる」ゲーム、と紹介。ゲームの箱に文字や絵を何度も書いたり消したりできる便利なスレートと呼ばれるボードが5枚入っています。ゲームは毎回1人が出題者となり、「宇宙人に喜ばれる接待方法」などのお題カードを選んで、回答者はその回答をそれぞれスレートに書き、出題者に提出。全員が提出し終わったら、その回答を出題者が見て、誰が書いたのかは秘密のまま、それぞれを評価し順位を決めて発表するといった大喜利系のゲームです。面白い回答が選ばれることも、まじめな回答を選ぶこともあって、回答に対する反応が毎回違うのも面白さの1つです。

ハゲタカのえじき』は、手持ちの得点を争うカードゲーム。プレイヤー全員が1~15までの手札を持ち、山札の-5点~10点の得点カードを取り合います。まず山札から1枚得点カードをめくります。全員が1~15のうち1枚の手札を出し、その中で一番大きい数字のカードを出した人がその得点カードをもらえます。手札は全員1~15の数字を1枚ずつしか持っていないので、どのタイミングで大きな数字を出して得点カードをゲットするかが勝負どころ。ただし、あいこの数字カードを出した人は失格となり、それ以外の数字で競うことになるのもポイントで、たとえば最大の15を出したとしても誰かが15を出すことで両者失格となり、勝者はその次に大きい数字の人となります。

『ベストフレンドS』と『ハゲタカのえじき』のルールがわかったところで、いよいよ参加者の各テーブルにボードゲームが配られ、いざ実践。各テーブルにそれぞれパネラーといけだ氏も加わり、所々解説もいただきながら、ゲームをプレイしました。

その後の懇親会では、登壇者や参加者同士でゲームについてあれこれ語り合いましたが、テーブルでは、ゲームがそこかしこで始まる始まる! 歓談にゲームに、閉会まで大いに盛り上がりました。

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さて、読者のみなさん、オトナがハマるボードゲームの魅力が伝わりましたでしょうか?
子供から大人まで、何かしらの力を養うことができるのも、ボードゲームにハマる理由の1つかもしれませんね。
ここで紹介されたもの以外にも、まだまだ多くの種類があるので、興味を持ったら、ボードゲームカフェなどでぜひ楽しんでみてくださいね。