2017/06/28(水)19:30〜

第二回 動画マーケティング勉強会

2017年6月28日に『動画マーケティングvol.2』が開催されました。イベントの様子を紹介します 

まずは、ご登壇者のプロフィールを紹介します。

■dely株式会社 取締役/営業部統括 柴田 快

2015年早稲田大学商学部卒業。在学中に2つのサービス立ち上げを経験。卒業後は、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパンにて経営管理を担当。2016年1月よりdelyにジョインし、映像の撮影・編集作業から人事・広報・営業に至るまで多彩な業務に携わる。2016年10月より執行役員、2017年6月より取締役に就任し、現在はビジネスサイドの統括を担当。

■株式会社 Candee 執行役員 Planning&Sales 大川 秀平

早稲田大学 卒業。株式会社リンクアンドモチベーションを経て、株式会社フロムスクラッチの創業メンバーとしてジョイン 。その後、フリーランスとしてエンジニアリング・webコンサルティングを行ったのち、株式会社Qreator Agent取締役に就任。株式会社Candeeに参画後は、執行役員としてプランニング&セールスを担当。

■Kaizen Platform,Inc. Ad事業部 アジア事業統括部 部長

岡本 葵

東京大学卒業。株式会社リクルートMTLにて「みんなのクリエイティブエージェンシーC-team」のサービス立ち上げに関わる。その後、リクルートキャリアを経て、Kaizen Platformの創業に携わる。現在はKaizen Platform Ad事業部にてセールス/プランナーとして、動画のクリエイティブ改善に携わる。

今、「Video3.0」に突入した

まず初めのプレゼンテーションはCandeeの大川さんからです。

2015年2月に設立され、動画ビジネスを推進しているCandee。そのCandeeが掲げているのは「新しい時代のカルチャーとスターの創造です」と大川さんは言います。これまでコンテンツの変化を紐解いてみると、「映画館では見られない、テレビならではのコンテンツが、テレビ視聴を習慣化させた」ように、媒体は常に移り変わってきました。

映像コンテンツのフェーズについて、大川さんは「基本的にオープンイノベーションの展開は同じで、VRもARもこうなると思っています。映像の世界に置き換えると、テレビCMと同じものを使って配信面だけ変える(Video.1.0)→テレビCMを編集して結論を最初に持ってきたり、長尺版で詳しい内容にするなどの編集作業が行われる(Video.2.0)→小手先の技術から、デジタル・スマホ専用のオリジナル動画を制作する(Video.3.0)」と話します。

企画から政策、キャスティング、広告、分析まで実施するCandee


Candeeは、広告事業、メディア事業、さらにはバラエティ、アイドル、俳優、女優などを数多くキャスティングしたタレントマネジメントまでを統合展開しています。つまり、企画から製作、キャスティングに加え、広告や分析まで実施しているのです。

メディア事業としては、具体的にはLIVE番組500本以上、ネット動画1300本以上制作されています。そして現在、特に力を入れているのはソーシャルライブコマース「Live Shop!」。モデルやインフルエンサーがライブ配信でファッションやメイクなど紹介し、気になったアイテムをその場で購入出来るプラットフォームです。

このように動画制作やメディア事業に力を入れているCandeeですが、大川さんは「動画の制作を得意とするCandeeですが、案外地味なこともやっています」と話し出しました。

大川さんが持ち出した例は、「この1年の間にYouTubeに投稿された動画のうち、最も視聴された動画を知っていますか?」。正解は、プエルトリコ出身のポップ歌手Luis Fonsiさんのミュージックビデオで、約17億視聴を記録しているそうなんです。それを「日本発の動画」としてみると、星野源さんの「恋」ミュージックビデオが1.3億視聴を記録しているそう。(*視聴数は6/28時点です)

このようにYouTube上に公開された動画を分析しながら「例えば、日本発の動画のうち、飲食系企業の動画で最も視聴されたのは何か?」「そのうち広告経由での視聴はどのくらいか?」「広告経由の視聴数から広告予算を割り出すと、どのくらいになるか?」といったことを、Candeeでは日々分析しています。

「こういったことは地道に僕たちがクロールするとわかるんです。Candeeは楽しいことだけじゃなくてクロールも頑張っています」と大川さんは話します。

バズる動画はオーガニック経由が総視聴の約25%

「バズった動画」は一切広告運用していないのか?という問いについて考えてみました。大川さんによると、タレントのさかなクンが東京スカパラダイスオーケストラのメンバーと演奏するキリンの氷結の広告動画は、290万回視聴で「バズった動画」でした。オーガニックの視聴数28%、広告経由の視聴数72%だったと言います。

「再生数ばかり稼いでも仕方ないのはみなさんご存知だと思います。バズったというのは定量的に言うとしたら、総視聴数の25%ぐらいがオーガニック経由かどうかでしょう。バズったと言える動画広告も広告費をかけて、動画が認知された後に、口コミを呼ぶケースが多いです」と大川さんは語ります。

大川さんは「コンビニ業界やファストフードなどデジタルシフトが間に合っていない業界はまだまだたくさんあります」と指摘。Candeeでは、バズる動画を作るために、クリエイティブ面でも動画の「視聴維持率」や「1秒単位でのアクション(クリック、離脱など…)分析」を
1秒1秒丁寧に追っているそうです。

動画が「きている」。その5つのキーワードとは?

続いてKaizen Platformの岡本さんが「動画広告市場とKPIについて」と題してプレゼンをしました。

岡本さんによると、日本の動画広告の市場は、2014年290億(動画広告比率3.5%)、2015年516億(5.6%)、2016年869億(8.4%)、2017年予測1224億(10.6%)と動いており、広告の資産単位でいうとアーリーアダプター層は確実に着手しているそう。アメリカはもっとすごい規模になっており、2015年時点で77億ドル。日本のおよそ10倍の規模で動いているのだそうです。

岡本さんは、「動画がきている実感があるが、なぜなのか? Youtubeはもっと先に出てたけど、なぜ今なのか?」という問いについて5つのキーワードを提示します。

1つ目は「遠距離」。

「動画はオンラインセールス上での営業マンなんです。だから、動画に対しての投資が行なわれている。アメリカに限らず他の国を越境する時も使われている。文化を超えていくのは静止画のバナーではなく、動画コンテンツが強い。距離、遠距離を超えるコンテンツが動画なのです」と岡本さんは説明します。

2つ目のキーワードは「アプリ」。

「ゲーム業界は動画制作を牽引してきた。これまでLP見てもらえればよくて、アプリで訴求できるところが少なかったが、アプリが充実してきた」と岡本さん。アメリカだとビデオ制作チームを社内で抱えているケースが多いそうです。

3つ目は「ソーシャルマーケティング」。

ソーシャルでバズると瞬間的にイメージを変えることができるし、人がコンテンツに入ってきます。「ソーシャルマーケティングが成熟している中で、動画が使われやすくなっている」と岡本さんは分析します。

4つ目は「プラットフォーマー」。Youtube,facebook,snapchat,twitter,instagramなどプラットフォーマーが動画を推進していることが挙げられます。岡本さんは「動画のトラッキング技術はめんどくさいものがあるが、プラットフォーマーたちは莫大な開発投資をしてきた。分析のツールが揃っていなかったが、開発する時間がここ2、3年で整ってきた」と話します。

5つ目は「機材」。

スマートフォンや一眼レフの性能が良くなり、CMの撮影現場でも使うほどになってきています。誰でも機材を調達し、動画を撮って出せる現場が生まれたのです。

動画をやっていて当たり前に。

広告主もパブリッシャーもエージェンシーもクリエイターも、動画広告に関しての共通の悩みの構造がある、と岡本さんは指摘します。「みんな動画に投資したいが、投資対効果の説明に苦慮しているんです」。

そして、「KGIは『売り上げ向上=獲得数が伸びる(獲得数を下げない)』か『利益向上=効率が上がる(効率を落とさない)』しかありえない以上、抜本的に動画マーケティングをやっていく体制に変化していかないといけない。そのために市場や会社にインパクトをもたらしたい」と岡本さんは話します。

「動画の投資対効果をどう説明するべきか?KPIをどう考えるべきか?ではなくて、本当のissueは『みんな動画に投資したいんだけど、他にいい進め方はないのか?』ということなんです。動画マーケティングをやっていて当たり前という局面にシフトすべき」と主張しました。

社内で「同盟」をつくる

動画への投資を強めるために、絡める領域は社内に多数ある、と岡本さんは言います。例えば、セールス(説明資料はいらなくない?)、インバウンドセールス(動画で事前理解を深めてから会えるのでは?)、Webマスター(LPをいっぱい書くのではなく動画でCVRあげるのは?)、マスマーケティング(CM作ってもらっても展開しづらい?)といった具合です。「同盟」を作ることで動画への投資を強める作戦です。

例えば、CMを製作している部門があるのであれば、デジタルで利用することを想定して撮影/編集をすることをリクエスト。ソーシャル連投やクリエイティブ差し替えに備え、多くの「絵」を用意すること…例えば、セールスでも利用出来るプロモーション動画を作り、デジタルマーケティング上でも活用していけば、資料が不要となること…例えば、LPのCVRをあげる施策として、動画を導入し、広告でも着地でも活用していくためにWEBマスターと連携すること…と、より実践的なお話が出ました。

オーガニックでも伸びる動画に注力

最後に、delyの柴田さんのプレゼンがありました。

delyは「kurashiru(クラシル)」というレシピ動画サービスを展開しています。代表が25歳になったばかりで従業員が100名超だそう。去年の1月はインターン生も含め5~6名だったので、まさに動画の市場の伸びに合わせて、どんどん成長しているベンチャー企業です。

delyが動画市場への参入したのは、フードデリバリーサービス事業に失敗し、「次のビジネスの潮流は何か?」という問いから始まりました。BuzzFeed、NOW THIS、VOX mediaがちょうどアメリカなどで流行っている時期で、日本にもこの流れはやってくるはずだということで動画を始めたそうです。

とにかく動画を作り続ける中で、柴田さんは、オンラインで「いいね!」「シェア」される動画のポイントとして、

・動画の秒数は30秒~1分

・リズミカル(2~3倍速)

・最初の秒数でいかに美味しそうと思わせれるか

・無音でも楽しめるか

の要点をあげます。そして、「オーガニックでも伸びる動画の制作に注力した」と言います。

動画は見て楽しむものから実用性を伴うものへ

黄身と白身が逆転する卵の作り方の動画は、200万回再生で2万シェアと大ヒット。これを機に、delyは動画作りへ投資を始めます。最初は分散型メディアとしてスタートしましたが、zyngaがfacebookがアルゴリズムを変えたことで収益を減らした事例から、「他社のプラットフォームだけでは怖い」と感じ、サービス開始後数ヶ月でクラシルのアプリ開発に着手しました。今では、月に1000本ほど動画を作っています。

「これまではSEOが大切な検索型でしたが、現在は必ずしもグーグルに頼らなくなってきた。情報の取得方法が能動的なところから受動的に変わってきている」と柴田さんは言います。

「動画の広告は強制的に見せるフェーズから、上質的なコンテンツをバイラルに広げていくフェーズに移ってきている。他のコンテンツに混じっているコンテンツネイティブアドが流行り、バイラルに盛り上げることが増えている」とも柴田さんは指摘します。

「プラットフォームの成長により様々なプレイヤーが動画の市場に参加できるようになった。手軽に制作・リーチできる動画のニーズが急上昇している。また、分散型のメディアの形だとコンテンツがストックしないという欠点があるため、最近はSNSの活用に加えてアプリでコンテンツの視聴を継続的に促す企業が多くなってきた」。

そして、柴田さんは「動画は見て楽しむものから実用性を伴うようになってきた。会社紹介や説明書など動画の方がわかりやすく、動画の使用用途が生活に近づいてきた」と実感を語りました。

動画マーケティングはいつから来ているのか。

続いて3人によるパネルディスカッションが始まりました。

いつ頃から動画マーケティングが来ているかという問いについては、大川さんは「実際まだ来ていないんですよ(笑)。テレビ終わる終わる詐欺があって、CM終わる終わる詐欺がずっと。2015動画元年だと言われながら、今に至る。新聞・雑誌が減って動画が立ち上がっている感じ」と回答します。

岡本さんは「プラットフォーマーの動画押しはすごいです。アルゴリズムも含め動画にシフトしている。この先動画をやっていないことがネガティブに働くなということは感じている」。

みんな動画をやりたいのに…?

動画のプレイヤー層はどこかという問いについては、岡本さんは「広告主、総合代理店、制作会社、デザイナー、主にはデジタルマーケティングはここら辺ですかね」。大川さんは「ゲーム、飲料、消費財はデジタルに関しては前のめりで、パナソニックさんも前のめり」と話します。岡本さんは「ゲームは予算の規模が違う。制作費のコストも桁が変わっている」とも情報を話しました。

柴田さんは「facebookは動画を優遇してくれているので環境は揃っている。実際、食品メーカーもやりたがっているところが多い。その傾向は会社の規模に関わらず業界全体として広がっていると思います。ただ、担当者レベルでは前のめりなのに、いざ上長に通す段階になって社内で説明がつかないというところが多い。」と話します。岡本さんは「予算をどこから確保するのか。社内の調整の方が難しい気がする。ただ、糸口はいろんな観点がある。動画が売り上げにつながるストーリーをどう作るか」と答えました。

ライブ配信という形。

動画の活用について議論が盛り上がったのは「ライブ配信」についてです。大川さんは「記者会見をライブ配信したいですという依頼を最近よく受ける」と話します。「ライブをやろうというお客さんはデジタルのトレンドの中でもVRやりたい一歩手前の人で、テレビでなくてもfacebookで番組をやろうとしている人がいるんです」。

大川さんたちの「Live Shop!」の場合は、ファッションやメイクなどのアイテムを中心に、動画の撮影角度を変えるなどしてインタラクティブにものを売ることができるのです。

そのような動画のスタイルは日本では、まだそこまで浸透していませんが、海外では、視聴者がストーリーを作っていけるような観劇スタイルがあるそう。大川さんは「そんな風に尖ったことに挑戦したい」と話しました。

広告っぽさがないものを好む

どういう動画がオーガニックでバズるのでしょう?

柴田さんは「純粋にユーザーにとって面白く、驚きのあるものを地道に作るしかないです。ユーザーが好むのは、”広告っぽさ”が感じられないコンテンツ。広告って気付くと、シェアされない。警戒心をなくすのはバズらせる中で大事なのかなと思いますね」。

動画の作り込みで、PDCAが回っていく仕組みについての質問も挙がりました。岡本さんは「少なくとも会社にとってのレギュレーションはあるので、クリエイターさんにはトレンドを踏まえながら作ってくださいとお願いする。例えば、日本の人が日本で感じるクリエイティブと、台湾のクリエイティブは違う。台湾の場合、日常生活で撮った動画とかが伸びる。写真の加工をしないなど、あえて素人感を出すことがあります」

柴田さんは岡本さんの指摘に斬り込みます。「ジャンルによってもPDCAの回し方は違うかなと思います。ファッションの場合は動画を作りこんで、ストックしていくのが難しいけれど、食の分野だったらそれができる」。そして「ユーザーは面白いコンテンツを求めている。ただ、ラインを決めていくのは大事かと思いますね。面白い方がいいのは間違いないけど、弊社の場合、クラシルというブランドの中でどこまでやっていいかというのは常に気にかけています」。

動画撮影のテクニックの話も言及がありました。

岡本さんは「スクエアで流すのがべた。youtubeのサイズは長方形で最右が別だけど、最近はフレームをつけてリサイズするのが多い」。柴田さんも「正方形がいいですね。多くの人はスマホで見るので。人間の目は横についているので縦は見にくいんです。ファッション分野は縦長かもしれない」と語ります。大川さんは「縦位置画面の場合は情報盛り込まないと飽きられてしまう。撮るのが難しいし、縦にするなら縦の理由が必要」と答えました。

動画はまだまだ可能性がある

最後に一言ずつ話して、勉強会は終わりました。

大川さんは「最初に動画市場は来てないと言ってしまったが、爆発はしていないということです。来ていることは来ているんですね。ライブマーケットっていいきっかけなんです。1時間1本勝負で、勝手に納品されるので、気軽に配信できる。ライブをきっかけにデジタルマーケティングに取り組むのはあるなと思っている。ご発注お待ちしております」と話しました。

岡本さんは「動画を中心にビジネス変わっている。インスタグラマーが動画を作って販売するなど、テキストデータとは違うコンテンツの別の形だと思う。ビジネスモデルを変えてしまう可能性を秘めているのが面白い。可能性がまだまだあって面白い」と語りました。

最後に柴田さんは「ここ数ヶ月で売り上げも順調に伸びており、ニーズはめちゃくちゃあるという所感です。レシピ動画は類似サービスが至るところで増えているので、クラシルとしてはきちんと市場での地位を磐石にしていきたい。あと、長期的には国外への展開も狙っていきたいです。日本食自体への注目度も高いし、食に関する動画は文字情報も少ないので純粋に見飽きない。世界への壁はそこまで高くない。将来的に、クラシルはレシピ動画サービスを代表するプラットフォームになれればと思う」と述べました。