2017/07/09(日)15:00〜

ブランドロイヤリティー向上のためのツールとして、SNSを活用せよ! — 第二回MARKETERS CAMP TOKYO 野口陽介さん

 

マーケティング分野の第一線で活躍されているゲストをお呼びして、マーケティング力を身につけるためのセミナー「第二回MARKETERS CAMP TOKYO」。その三回目の講座が、7月9日に行われました。

ゲストは、株式会社オプトのソーシャルメディア事業部部長の野口陽介さん。今回は、「ソーシャルメディア実践講座」と題してレクチャーいただきました!

SNS普及によって変化した消費者行動

3,500,000,000…この数字が何の数字だかわかりますか?実はこれ、世界中の男性の数なのだそう。それに対して2,000,000,000。この数字は『Facebook』の月間アクティブユーザー数です。つまり、世の中の男性の半数以上という規模の人が『Facebook』を使っているとも言えると野口さんは言います。また、中国国内で使われている中国版『LINE』であるSNS『WeChat』。このサービスを活用しているユーザーは現在8億人以上で、日本のLINE以上にユーザーの日常を支えるインフラ的なサービスになりつつあるのだそうです。 

 

そして、『SnapChat』の上場時の時価総額は、3.3兆円。また、『Facebook』が2012年に買収した『Instagram』は買収当時、社員数はたったの13人、売り上げ0の会社でしたが、現在の企業価値はなんと5.1兆円。 

 

世界中の企業の時価総額ランキングでも、1位にAppleの90兆円。7位にFacebookの53兆円。9位に『WeChat』を運営するTencentの36兆円と、SNSを中心としたサービスの運営会社がこれほどまでに影響をもたらすほどになっているとのことです。※時価総額は2017年6月

 

 

ここからは、ソーシャルメディアとは何なのか、改めて振り返ることに。 

 

ソーシャルメディアの定義は… 

  1. 生活者自身が情報やコンテンツを作成・編集し、自由に発信できるもの 
  2. 生活者同士がお互いにコメント・評価し合うことができるもの 

ソーシャルメディアとSNSはなかなか区別がつきづらいものですが、ソーシャルメディアは 上記二点を含むものの総称で(『2ちゃんねる』、『YouTube』、『Wikipedia』など)、SNSはその中の一部であるソーシャルネットワーキングサービスのことだけを指すとのこと(『Facebook』、『Twitter』、『LINE』など)。 

 

SNSは、1990年代にポケベルやガラケーが発売されたことから始まり、2000年代にブログや『mixi』が流行。『iPhone』などのスマホが登場した、2010年代から『Twitter』や『Facebook』、最近では『Snow』や『Snapchat』といった投稿が消えてしまうようなSNSが流行ってます。。 

 

そんなSNSの普及の背景には… 

  1. インターネットの普及(現在のネット普及率は80%以上) 
  2. 通信インフラの発達(wimaxやLTEなど4G回線が整備され、高速通信が可能に) 
  3. モバイル(スマホ)の普及(スマホ普及により、SNSの利用も増加傾向に) 

この三つがあるとのこと。 

 

SNSは一体、人々の行動をどのように変えてきたのでしょうか? 

ネットが普及する前は、企業から消費者へ発進する情報は、一方通行でした。しかし、ネットが普及したことで企業と消費者の間の双方向で情報が行き交うようになり、インタラクティブなコミュニケーションが生まれました。そんなSNS時代の今、消費者は自分で情報を取捨選択できるようになっているので、企業がいかに消費者のコミュニケーションの輪に溶け込むことができるかが大事になってきているとのこと。消費者が信頼する情報ソースは、知人からの推奨やネット上での口コミが上位になってきているので、そういったネット上での口コミも大事になってきているということです。 

 

また、これまでの消費者行動のプロセスの考え方は… 

Attention(注意)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)という「AIDMA」が一般的でした。 

 

しかし、ネットが普及したことで、このプロセスは… 

Attention(注意)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(行動)→Share( 

共有)という「AISAS」に。 

 

また、その中でもSNSが普及したことで生まれた、SNSに関与が深い独自の消費者行動のプロセスは… 

Sympathy(共感)→Identify(確認)→Participate(参加)→Share&Spread(共有&拡散)というふうに変わってきています。

 

それぞれのSNSに合わせたコンテンツ作りを

 

次に、SNSの現在の状況のお話へ。

 

SNSの利用率は現在57%を超えていて、20代は91%との結果が。また、ネット利用者によるSNS接触時間はネット全体の接触時間の約30%とも言われているのだそう。 

ここからは、主要のSNSのポイントを説明していただきました。 

 

『Facebook』は、グローバルでユーザー数が20億人を突破。若年層の『Facebook』離れが叫ばれているように、実感として学生の間ではあまり使われなくなってきているとのこと。 

 

『Twitter』は一時期人気が低迷していたものの、最近はテレビCMも行っていてユーザー数は増加し続けているとのこと。グローバルでユーザー数は3.28億人ですが、日本では4,000万の月間アクティブユーザーが存在しているのだそう。若年層に人気のSNSというイメージも強いですが、実際には幅広い年齢層の方が利用しているそうです。 

 

『Instagram』は、グローバルでのユーザー数は7億人。特徴的なのは、アクティブ率です。ユーザーの6割が毎日利用しているという結果が出ているのだそう。それが、企業から注目されている理由の一つに挙げられると野口さんは言います。また、ユーザーの65%が女性だという点も特徴の一つ。日々のアップデートも頻繁に行われているSNSという意味でも、注目されているとのことです。 

 

『LINE』は、グローバルでのユーザー数は2.17億人。日本以外のところだと、タイや台湾を中心としたアジア圏、スペイン語圏でのユーザーが多いのだそう。国内においては、スマホ利用者のほとんどが使っているのではとのことです。 

ここからは、SNSの特徴の違いのお話へ。代表的な『Twitter』、『Facebook』を比較材料にして、説明していただきました。それぞれのSNSによって異なる特徴をしっかりと見極めることが、どうやって消費者とコミュニケーションをとっていくかにもつながるので、ここは大事なポイントとのことです。 

 

『Facebook』の特徴は… 

  • 実名、ビジネスユースから広がったSNSである 
  • 周りから見られたい自分、自己顕示欲を満たす投稿やシェアが多い 
  • 詳細なユーザーデータから、細かいターゲティングが可能で、広告効果が高い 
  • ユーザーに関連性が低いと見なされた投稿はフィードに流れない 

つまり、共感や感動、気づきを与えるコンテンツが好まれるとのことです。 

 

 

それに対して『Twitter』の特徴は… 

  • 興味関心、匿名でつながるSNSである 
  • 周りを気にしない本音が行き交う場であり、知らない人とのつながりも 
  • 若年層の利用者が多い 
  • フォローしている人、企業の投稿は全てタイムラインに流れる 

つまり、トレンド情報やリアルタイムコンテンツと相性が良いとのことです。 

 

『Twitter』と『Facebook』にはユーザー同士のつながりの濃さにも違いが…。 

『Twitter』の平均フォロワー数は320人ほど。しかし、興味関心でつながる人数なので、つながりはあまり深くはありません。それに対して『Facebook』の平均フォロワー数は120人ほど。『Twitter』に比べて数は少ないものの、つながりは濃いとのこと。ちなみに、『LINE』などのメッセージングアプリは、さらにつながりの濃いアプリになってくるということです。 

 

そして、これまで出てきた『Facebook』、『Twitter』、『Instagram』、『LINE』の中で拡散性が高いのは『Facebook』と『Twitter』。ソーシャルでつながっているのは、『Facebook』と『LINE』。インタレストグラフ(興味関心)でつながるのは『Twitter』と『Instagram』。SNSが盛り上がっている中、とりあえずアカウントを運営しようという企業も多いですが、これらのポイントをしっかりと見極めて、SNSごとに合ったコンテンツを作っていくことが大事な要素の一つであると野口さんは言います。 

 

ユーザーは、果たしてどのようにSNSを使い分けているのでしょうか? 

 

それぞれのユーザーインサイトを考えてみます。すると… 

『Twitter』の場合は、「面白いものを見つけたい」というように情報収集のためのツールであったり、趣味嗜好が同じ人と盛り上がったりしたいというインサイトがあるとのこと。 

『Instagram』の場合は、ビジュアルで自分を表現するためのツールとして活用することが多く、見られたい自分をビジュアルを使って演出したいとのインサイトがあるとのこと。 

『Facebook』の場合は、意識の高い自分をアピールする場として使われていて、自分をよく見せるための投稿のシェアが行われる場になっているとのことです。 

SNSはブランドロイヤリティーを向上させるためのツール

 

ここからは、SNSがなぜマーケティングにおいて重要なのかをお話しいただきました。 

若年層のテレビ離れが取りざたされていますが、実はテレビの接触時間自体はそこまで変わっておらず、メディア接触時間そのもの(テレビをみながらスマホを見るなど)が増えたとのこと。スマホの普及によって「ながら利用」をする人が多く、駅や電車でスマホを活用する人は83%。テレビを見ながらスマホを利用する人は77%。トイレでスマホを活用する人も46%いるとの結果も。 

 

そして、美容・健康、アパレルといった若年女性をターゲットにした商材を販売するサービスに至っては、スマホからの売上が6割を超えており、5年くらい前まではいかにPCサイトをきれいに作っていくかに焦点を当てていましたが、今はスマホのサイトをいかにユーザーにとって使いやすくするのかが大事になってきているということです。 

 

また、PCを使う時には『Google chrome』などのブラウザを開き、そこからさまざまなコンテンツへと広がっていくことが多いですが、スマホの場合は86%がアプリ利用に時間を使っているとのこと。それならば、「アプリを作れば、ユーザーとコミュニケーションをとれるんじゃないの?」という声も聞こえてきそうですが、ユーザーに普段使いされるアプリはたったの9個ほど。 

 

つまり、スタメンのアプリで居続けることはとても大変で、ほとんどのアプリはダウンロードされたとしても使われないのだそうです。そんな中、SNSのアプリ利用率は非常に高く、1位が『LINE』、2位が『Facebook』、3位が『Twitter』との結果が(2015年の結果より)。 

 

また、当時は『Instagram』は8位でしたが、現在の月間アクティブユーザー数は1,600万人。仮に他のSNSのユーザー数が変わっていないとすれば、3位以内に入り込む勢いです。SNSの成長スピードを実感できる驚きの結果ですね。 

 

そんなSNSは、消費者の行動をどう変化させたのでしょうか? 

以前は『Google』、『Yahoo!』で検索することが検索行動としては当たり前でしたが、若年層を中心に『Twitter』や『Instagram』で検索する方が増えてきているとのこと。 

 

ここで、一例として『Google』でスニーカーと画像検索した場合と、『Instagram』で#スニーカーと検索した場合に出てくる画像を共有していただきました。すると、『Google』でヒットした画像は、おそらくECサイトなどの宣材写真のような画像が。 

それに対して、『Instagram』にはそれぞれの投稿者の世界観が出たおしゃれな画像が挙がってきます。これを見れば、一目瞭然!消費者は、『Instagram』のスニーカーの方が欲しくなりますよね。実際に、SNSユーザーの半数はSNSがきっかけで商品を購入したことがあるとの結果も出ているのだそう。 

 

そのように情報の伝達方法が増えたことで、情報量は爆増し、情報が伝わらない「情報洪水」の時代になり、いくらきれいな広告を作っても消費者に届かないということが起こるようになりました。つまり、これまでは大量に投下してターゲットにリーチしていくマスリーチ型と、一対一で消費者に直接リーチしていく直接リーチ型のアピール方法があり、ターゲット効率を高めることが鍵でした。 

 

しかし、これからの時代は間接リーチ型、インバウンド型のアピール方法で攻めていく、要するに、共感される、拡散されるコンテンツになれるかどうかが鍵になるとのことです。 

ここまでは、マーケティングにおいてなぜSNSが大事なのかをお話ししていただきましたが、野口さんは「SNSは魔法の杖ではありません」と釘を刺します。 

 

SNSには向いているものと向いていないものがあって、垂直立ち上げはスポット的なキャンペーンをSNSだけでやるのには向いておらず、段階的・継続的にファンとコミュニケーションを取っていくためのツールに向いているとのこと。なので、ブランドロイヤリティー向上を目指すためのツールとして使ってほしいということです。 

 

オプトで担当されているあるECサイトのクライアントの数字を見ると、公式アカウントのSNSに接していないユーザーよりも接触しているユーザーは、訪問回数は1.7倍。CVR(購入率)は3.5倍。LTV(一人当たりの購入価格)は3.8倍に。SNSを見ているユーザーは全体のユーザーよりはもちろん少ないものの、ロイヤリティーの高い顧客はSNSにいるので、SNSを運用することが売り上げ拡大につながっていくと証明された結果が出ているということです。 

 

また、SNSの運用の理想像は「循環型」だと、野口さんは言います。商品を認知させるために広告を出したとして、SNSで理解や共感を生んでファンを作っていく。そして、そのファンがタイムライン上でその商品の感想や使い方をアップしてくれることで、さらにファンを生んでいく。そんな好循環を生むことが、SNSマーケティングの理想形だとお話ししされました。 

SNS運用の方針を決めることで、成功するアカウントになれる

ここからは、SNSの運用方針についてのお話へ。 

SNSを運用する企業に「どうしてSNSをやっているんですか?」と聞くと、「SNSが流行っているから」「上司から指示されて」というような答えが返ってきて、あまり目的が明確になっていないことも多いのだと野口さんは言います。 

 

すると運用から一年、二年が経った時、結局予算が削減されてアカウントを閉じなくてはいけないことになったり、人員が変わることでさらに目的が不明確になり、アカウントを閉じるということもあるとのこと。なので、SNSを運用する上で運用のテーマを設定することから始まり、誰に発信するのか、どこで発信するのか、何を発信するのか、どうやって発信するのかの中身を設定すること、そして最終のゴールを設定することが必要になってくると言います。 

 

そこで、実際に野口さんの考えるSNS運用目的の設定手順を教えていただきました。

1.SNS運用の目的と目標指標を決める 

・目的例その1…商品・サービスを販売する 

・目的例その2…ユーザーと交流する、ファンを育てる 

・目的例その3…認知度を拡大する 

 

2.共通テーマを決める 

「◯◯」といえば自社アカウントというように、ユーザーにどんな風に思われたいのか、どんな時に見てほしいのかを決める 

 

3.ターゲットを決める 

年齢、趣味、性別、SNSを見るきっかけ、仕事、学校、好きなもの、嫌いなもの、一日の過ごし方、将来何になりたいのか、などペルソナを決める

 

4.SNSの選定をする 

必ずしも全てのSNSを運用する必要はなく、ターゲットがどこにいるのかで運用するSNSを選ぶ 

 

5.発信する内容と発信する頻度を決める 

発信する内容のカテゴリーを決め、ターゲットの一日の動きを考えた投稿スケジュールを決める 

 

6.投稿のルールを決める 

冒頭にタイトルを記して【】をつける、URLの前には→をつける、絵文字・顔文字の使用可否、ハッシュタグ使用の基準など細かい設定を決める 

 

7.目標を決める 

目標例…目標指標は反応数、目標数は週に〇〇反応以上、月に〇〇リツイート以上というように具体的に数字を決める 

SNS運用目的のプロセスを伺ったところで、ここからはネタ出しのコツを教えていただきました。 

 

オプトのSNSコンサルタントが日々考えていることは二つ。 

 

1.何か面白いもの・ことはないか? 

・面白いユーザーや気になるメディアをフォローする 

・面白いウェブメディアを見て、情報を入手したり、ネタの見せ方を学ぶ 

・新しいことを知ったら、百科事典系メディアで深掘りする 

 

2.今ネットで話題になっていることは何か? 

・一時間に一回はTwitterでトレンド情報をチェックする 

 

また、野口さんの考えるSNS運用者の心得三カ条も教えていただきました。 

1.投稿は継続的に 

SNS運用の成功は一日にしてならず。毎日一投稿以上行い、見てもらえるアカウントを目指す 

 

2.トレンドを取り入れる 

SNS上のトレンドを抑えた発信により、アカウントを見るユーザーが増える 

 

3.SNSの文化に寄り添う 

ユーザーにとってSNSは「街頭演説の場」ではなく、「公園」のような存在。少し肩の力を抜いたような投稿が向いている 

 

そして、最後にSNSを運用することのリスクについてもお話しいただきました。 

 

起こりうるリスクの大きなものは、二つあると野口さんは言います。それは、炎上事件発生のリスクと、情報漏えいのリスク。そこで、実際にいくつかの企業アカウントの投稿例について教えていただきました。 

こうして、オプトの野口さんによるSNSマーケティングについてのお話が終わりました。 

 

野口さん、本日はありがとうございました! 

SNSアカウント運用の基本から方針設定のプロセス、リスクのお話まで、SNSマーケティングに関わる方が知っておきたいポイントを抑えることができたのではないでしょうか? 

次回は、「顧客とのエンゲージメントを実現する、マーケティングプラットフォーム講座」と題して、株式会社Marketoの小関貴志さんにゲストとしてお越しいただきます。どうぞ、お楽しみに。