2017/04/28(金)19:30〜

藤井亮さん、小杉幸一さん、田中紫紋さん、ムサビの学友が語るそれぞれのデザインとは? — デザイン夜話。vol.1レポート

数々の著名なコミュニケーションデザインを手がけてきたクリエイターをお招きし、その発想法や表現法を探るイベント『デザイン夜話。』その第1回目が、行われました!
今回、ゲストとして登場してくださったのは、電通の映像ディレクター、アートディレクターである藤井亮さん。博報堂のクリエイティブディレクター、アートディレクターである小杉幸一さん。アニメーション作家、ディレクターである田中紫紋さん。そして、ファシリテーターには、リクルートコミュニケーションズのコミュニケーションデザイン部 次長の萩原幸也さんが登場しました。
この4人、実は全員が武蔵野美術大学出身!藤井さん、田中さんは同級生で、その1つ下の学年にいらっしゃったのが小杉さん。大学時代はよく、このメンバーで遊んでいたのだそう。その頃の思い出話も含めてお話ししてくださった当イベント、当日は80人近くの方が参加してくださり、会場はおおいに盛り上がりました。本レポートでは、そのトークセッションの様子を中心にお伝えします。

〈登壇者〉
・ 藤井 亮さん(株式会社電通 映像ディレクター/アートディレクター)
中学生が思いつくようなくだらないアイデアを、大人が本気で作ったような作品を多数制作。最近の作品は、滋賀県の『石田三成CM』やNHKの『ストップ恋愛』、『プロファイリング昔話』、宇治市『観光アクションゲーム・宇治市』、PiTaPa『記憶イラストリレー』、三戸なつめ『前髪切りすぎた〜落書き編〜MV』など。

・ 小杉 幸一さん(株式会社博報堂 クリエイティブディレクター/アートディレクター/グラフィックデザイナー)
従来の広告の他、イベントや空間、テクノロジーを使った従来の型にはまらないシンプルで明快なアートディレクションを手がけている。主な仕事に、資生堂『50 selfiesof Lady Gaga』、キリン『一番搾り』、スズキ『HUSTLER』、PARCO『パルコアラ』、ZUCCa、エン・ジャパン『エン転職』、築地玉寿司『もじにぎり』など。

・ 田中 紫紋さん(アニメーション作家/ディレクター/デザイナー)
「思いついたモノは作れる」という考えでいろいろと作るので、自分の肩書きを特に持たずに活動している。デビュー作は、報道stationの初代オープニングアニメーション。近年は、メタルダンスユニットBABYMETALのMV、CG、ジャケット、アートディレクション、舞台デザインなど、さまざまな制作を担当している。

〈ファシリテーター〉
・ 萩原 幸也さん(株式会社リクルートコミュニケーションズ コミュニケーションデザイン部 次長)
リクルートグループのコーポレートやサービスのブランディング、プロモーションを担当している。

まずは、3人の登壇者の自己紹介を兼ねて、これまで作ってこられた作品をご本人から紹介していただきました。その中には、誰もが知る映像作品や、話題になったCM作品が。時には、会場中が笑いに包まれることも。藤井さん、小杉さん、田中さん、ありがとうございます!

続いて、萩原さんの進行のもと、デザインについて熱く語るトークセッションへ。

 

アイデアはどうやって出すの?

小杉さん:

逆に僕が、紫紋さんと亮さんの2人に質問してもいいですか?

僕は、クライアントに対して求められているものをストレートに返してる意識なんですけど、2人の仕事を見ていると、けっこう裏切っているじゃないですか?

 

田中さん:

多分、僕らは依頼が来ると、そもそも「何」で作ろうかなって考える。映像にしようかな、とか。

藤井さん:

でも、どっちかというと何をやりたいかを決めて、そこから結果的にポスターになったり、映像になったり。

やっぱりやりたいっていう気持ちがモチベーションになるんで。やりたいことをやれば、ギリギリまで詰められるというか。

 

小杉さん:

今でもその気持を持つことってすごいですよね。

 

田中さん:

小杉は、お客さんのことを1番に考えてるもんね。

 

小杉さん:

紫紋さん、それってちょっとトゲ入ってますね(笑)?

 

田中さん:

いやいや(笑)。

 

藤井さん:

本当の大人の仕事だったら、それが正解なんだと思う。

でも、僕の場合はモチベーションが維持できないというか…。何か自分のやりたいことを入れておかないと、どこかでしんどくなってきちゃう。

 

田中さん:

亮くん、君はちょっとやりすぎだと思う。電通の仕事に見えないよ(笑)

 

小杉さん:

クライアントにどうやってやりたいことを通すんですか?

 

藤井さん:

説得は真面目にするんですよ。今日みたいな格好をしないし、ちゃんとジャケットを着て、プレゼンする時は笑ったりもしない。「こういうの、おもしろいでしょ?ワッハッハ」みたいになると、やっぱりクライアントは不安になるんですよ。

やりたいことをたんたんと理屈で喋るんです。

家を建てる時でも、そうじゃないですか。建築家が「こんな建築をやってみたいんですよ、ワッハッハ」みたいに言ったら不安になりますよね(笑)

 

小杉さん:

確かに(笑)笑わせたいことが目的じゃないですもんね。

 

藤井さん:

だから、「こういう風に考えた結果、これをやるといいと思うんです」とかすごく真面目にプレゼンする。

 

小杉さん:

建築家の例、わかりやすいですね。

僕もこの前、家をリフォームをしてもらったんですけど、1案だけだったら分からないと思います。いろいろ検証をみたいし、してもらいたい。

決めていくプロセスには、比較検証は、必要不可欠なんですよね。その経験から、仕事で複数案プレゼンの必要性を自分ごと化できました。

藤井さん:

やっぱり企画の数を出すのは大事で。

やっぱり人って1案では決められないんでA案、B案、C案出すっていうのは当たり前なんですけど、僕の場合は通したいC案がある場合にはだいたいA案、B案がつまらなくなっちゃうので…C案通すためにZ案を出します。

かなりおかしい案をZ案として最後に出すことによって、結果的にC案が普通に見えるというか(笑)

 

小杉さん:

日本人って、3つ出されるとだいたい真ん中を選びたくなる国民性ですよね!(笑)

 

田中さん:

家電の売れ筋と一緒なんだね。上から1個下がいい、みたいな。

でも、亮くんのものはよくバズりますよね。小杉の作品はよくテレビとか街で見るやつじゃん。亮くんが作るやつは、よくTwitterで見るやつ。

 

藤井さん:

広告業界の人に嫌われるものを作ろうというスタンスがあって。

専門の人が見て「しょうもないな」って思われても、実家の友達の子どもとか、おばあちゃんとかが楽しんでくれるっていうか…。

 

田中さん:

すごくわかる。

 

藤井さん:

お題からだいぶずれてきたけど、アイデアの出し方でいうと、ずっとうろうろして歩きまわってる時に出ますね。

 

小杉さん:

新幹線や飛行機でアイデアが出やすいっていうのは、目が動いて、それが脳に届いて活性化するみたいですよ!

 

田中さん:

僕もキックボードやってる時が、1番アイデア出る。

 

藤井さん:

あと、ファミレスとかの席で、横の人がずっとマルチの勧誘とかしてるのを聞いてると思いついたり(笑)

横で何か起きてると、それが刺激になりますよね。

 

田中さん:

自分の仕事なんて、どうでもいいものなんだなって思ってくるしね。

 

—アイデアを出す時は、受け手のことを考える?

藤井さん:

基本的には、自分の世代に近しい人を笑わそうとか…。

 

田中さん:

男子でしょ。

 

藤井さん:

そう、女子ウケは諦めてる(笑)

どこかで小杉の作るような女の子にチヤホヤされるものとかモテるものを作りたいなって気持ちはあるんですけど。

 

小杉さん:

チヤホヤもされないし、モテません(笑)

 

藤井さん:

本当は「アートディレクションの最先端が詰まってる」とか言われてみたいんですけど、でもこれは無理だから、男子で行こうと思って。

 

アイデアから、表現や作品に落とし込む方法は?

小杉さん:

むしろ僕が聞きたいんですけど、映像に落としこむ際、ジャッジするポイントなど自分の中で明快なものはあるんですか?

 

藤井さん:

それはもう、おもしろくなるまでやるしかなくて。

映像とかって、仮編集とかするじゃないですか、その時に毎回1度絶望するんですよ、全然おもしろくないって。汗も出てきて…。

田中さん:

わかる(笑)

こんなにお金を使って、何てもったいないことをしたんだろうって。

 

藤井さん:

そうそう。でも、そこからがスタートみたいな。

だから、素材が足りないなと思ったら、iPhoneで撮ってその場で追加したり。

 

田中さん:

僕は、基本的に全部自分で作っていくので仮とかはなくって、完パケ(そのまま放送できるほど完全なパッケージのこと)で出しちゃう。

 

藤井さん:

でも、そうなるとおもしろいかおもしろくないかの判断が自分ではできなくない?

 

田中さん:

なんかさ、さっきから亮くんはおもしろベースだよね(笑)

 

藤井さん:

確かに、おもしろいかおもしろくないかが最優先課題かも。

 

田中さん:

今日のイベントって「デザイン夜話。」だからさ。

 

藤井さん:

そっか(笑)!

 

田中さん:

だから、僕は全部落とし込みますね。

BABYMETALのジャケットもそうですけど、入稿できる解像度のデータで100 個くらい作ったり。基本的に、完パケまで落とし込むっていうやり方。やれることは全部やってみるっていうスタンスですかね、使ったことのないものもガンガン使うし。

 

藤井さん:

それでいうと、2人は完成ってどこなの?

僕の場合は、とりあえずおもしろくなったらゴールって感じなんだけど、例えばおしゃれなものとかってゴールが全くわからないんだけど…。

 

小杉さん:

感覚的なものは、自分でジャッジできないんですよ。理屈だったら速いんですけど。

だから、ファッション系の仕事や、グラフィックデザインの仕事は、締め切りが一つの区切り。

 

田中さん:

確かに時間はあるね。でも、時間より前に終わることはあるでしょ?

 

小杉さん:

広告は早いんですよ。例えば、飲料メーカーの仕事とかは、プレゼン日までに僕が早く仕事をしないと、そこからの展開も遅くなる。プロモーションはどうするとか。Webはどうだとか、店頭はどうだとか。

だから、僕が悩んでる時間はないんですよね。チームで作るので。水と同じで滞留すると全体が濁る感じ。

 

田中さん:

亮くんはさっきからふんふん聞いてるけど、僕から見れば2人は電通と博報堂のアートディレクターで、変わらないはずなんだけど…(笑)?

 

藤井さん:

会社が違うと全然違う。

でも、小杉のが正しいやり方。りかこ(グラフィックデザイナーの長嶋りかこさん)もそうだよね。僕らの同級生なんですけど、おしゃれの塊みたいなやつがいるんです。

 

レイアウトを決める時、どういうプロセスを行う?

小杉さん:

人それぞれだと思うんですけど、基本的に僕は可能性を消していってます。

言い訳をなくすというか…。だから、最初に作ったものと最後に作ったものが一緒でもいいんです。

何でこうなったのかっていう理由を決めて、言い訳を消してる。

そうじゃないと、質問された時に答えられないんですよね。そうして定着したものって、デザインに対するディティールへの思いとかが自ずとクライアントにも伝わって広がるというか。

 

田中さん:大学にこういう先生いた!

 

小杉さん:

1ミリずれてるとか視覚的な違いはもちろんあると思うんですけど、自分が1mmをこだわってデザインしてるっていうプロセスが大切。「ここまでやりきったものですよ」って言えるかどうか。

あんまり関係ないんですけど、以前いた僕の後輩が入稿データを3ミリ間違えたことがあって…。

 

田中さん:

トンボ分、間違えたんだ。

 

小杉さん:

あっ違う、3センチでした!

 

田中さん:

…それは、だいぶ間違えたね(笑)。

 

小杉さん:

媒体から出てるっていう。

で、その時に僕の父が病気で頭の手術をしたんですよ。0.5ミリ単位の手術って聞いて、3センチなんてずらしたら人死ぬぞって(笑)

でも、そのくらいドクターみたいな解像度をもつことは重要だなって思ったんです。家だってそうじゃないですか、3センチずれてたらけっこうビー玉とか転がりますよ。

 

田中さん:

確かにね、3センチはダメだと思う。…1ミリはいいと思わない?

 

小杉さん:

でも、家とかで1ミリずれてたらけっこう気になりますよね。

 

田中さん:

絶対だな?今度、小杉の家行って1ミリくらい削っておくわ。

 

小杉さん:

それは、勘弁してください(笑)。

クリエイティブの㊙︎突破術は?

藤井さん:

僕は、Z案。あとは、ちゃんとした格好をするとかね。

 

田中さん:

僕は、完パケを出すパターン。

「ラフください」って言われてるのに、完パケの解像度で出すとか。突破というか、完成度上げて出しちゃうかな。でも、亮くんは完成度低いのをあえて出すとかもやるんでしょ?やりそうだもんね。

 

藤井さん:

期待させちゃうとまずいかなっていうのもあって、あえて下手に描いたラフを持って行ったりとか。最近はみんなカンプ(制作物の仕上がりを示すための見本)を完璧に作ってくるじゃないですか、あれがすごく嫌で。

だから想像できないくらい下手な絵にしたりだとか、字コンテにしたりだとか。作る時の自分の余地を残しておかないと、後から首が締まるんで。会社の先輩で、僕と同じように関西のおもしろいCMとか作る先輩が、コンテに「ここにおもしろい会話」って書いて、「商品カットが入る」みたいなコンテを出していて。

田中さん:

それでいいんだ(笑)?

 

小杉さん:

割り切っているんですね!

 

藤井さん:

ある先輩は、プレゼンに行く時にコンテを間違えて川に流しちゃって。

 

田中さん:

どういうこと(笑)?

 

藤井さん:

電車に乗ってて、暑いから窓を開けようとして、そうしたらその隙間から飛んで行っちゃったらしくて。

それでそのままプレゼンに行って、「いろいろ考えた結果、具体物があると想像が弱くなってしまうと思うんですよね…」みたいに言って、「みなさん、目を閉じてください」って言って、そこからプレゼンをしたっていう。

 

田中さん:

(笑)。1回あってもいいかもね、毎回はダメだけど、1回それだったら「おお!」ってなりそう。

 

藤井さん:

しかも、その方がすごそうに感じる。人間って情報量が少ないといろいろ想像するから。

 

小杉さん:

逆にそれ、プレッシャーになったりしません?

 

田中さん:

それはさあ、「あなたが勝手に思ったことでしょ?」ってなるじゃん。それで、クライアントも「そうでしたか」ってなる。

でも、絵コンテを詳細に書いちゃうと「違うじゃないか!」って話になる。

 

藤井さん:

そうやってコンテ通りに起こしていくってなると、全然おもしろくなくなっちゃうよね。

コンテは欲しいんだけど、いかにそこをあやふやにするか…。

 

田中さん:

正直、今、亮くんからもらっているコンテがめちゃくちゃあやふやだけどね。

今、ちょうど一緒に仕事をしてるんですよ。

 

小杉さん:

僕も、カメラマンとかに絵コンテを出す時は「草原に女の子が立っていて、気持ちいい感じ」とかほわっとしたものを出して、「考えてみてください」って言ってみたりする。一緒に考えていきたいというか。

僕が思っていることが正解とは思わないんです。

 

藤井さん:

そうなると、僕はクライアントに出すコンテと作る時のコンテは分けてる。

クライアント向けのものは、概要さえ伝わればいいっていう感じなので。

小杉さん:

話がずれちゃうかもしれないんですけど、僕は未だに電車とかの広告を見て、「これはこういうオリエンだったんじゃないかな」とか考えます。

 

田中さん:

あるある。CM見たら、だいたい絵コンテが浮かぶ。

ここはちょっと直されたなとか、ここはもめたんだろうなとか(笑)。

 

2017年のデザイントレンドは?

田中さん:

さっき控え室でこの項目を見て、僕らには無理だって話してたんですよ。

 

小杉さん:

わからないですよ、僕も。

 

藤井さん:

デザイントレンドみたいのって意識して作ってるの?

 

小杉さん:

いや、意識してないです。

 

田中さん:

デザイントレンドって、そもそもあるんですか?例えば、2016年は何だったかな。去年とか、けっこうみんな丸みのある明朝体にしてたよね。

 

小杉さん:

広告っていいものつくろうとすると、お金をかけなきゃいけないと思うじゃないですか?

 

田中さん:

クライアントの予算とかあるから使わないといけないって感じになるもんね。

 

小杉さん:

(Zoff Runningのコピー広告を見ながら)これは目が悪い人がランニングしている時に読んだ原稿みたいなものを作れたらいいなと思って。A3で印刷した紙を壁に貼って、デジカメを振りながら撮っただけなんですよ。(水原希子さん出演のZoffのCMを見ながら)あとは、希子ちゃんのこのCMはMac Bookのウェブカメラで撮ったんです。だから、文字を打っている時のリアルな希子ちゃんなんです。トレンドじゃないかもしれないけど、いかにパーソナルに寄るか、リアルを感じてもらいたいというか…。

 

田中さん:

資生堂の『50 selfies of Lady Gaga』もそうだよね。

 

小杉さん:

そうです。だから、去年はけっこうリアルなものが自分の中で流行ったのかなって。

 

藤井さん:

ドキュメントが強い、みたいにも言われてたもんね。

まあ、そこで僕はずっとフィクションを作っていたんだけどね(笑)。

 

小杉さん:

2人の場合は、自分の中の相当強いリアルみたいなものがある気がする。

自分が「これがおもしろい」っていうものをカタチにしているというか。

 

田中さん:

おもしろいんじゃないかっていう感じだよね(笑)

 

藤井さん:

もしかしたらおもしろいかもしれないなあ…もしかしたらおもしろかったらいいなあっていうくらい。

 

小杉さん:

多摩美術大学で教えているんですけど、ポスターとかを作れっていうと、みんな右下に商品を入れて、広告ってこうすればいいんでしょ?っていう勝手な思い込みがあるんですよね。

 

田中さん

テンプレがあるんだ。

 

藤井さん:

僕はどっちかというと、テンプレをバカにするっていうのをやっていて。ちょっとずつ破綻させたいっていうか…。

 

田中さん:

あれもそうだよね、大学の芸術祭のパンフレットも。

それまでは有料で、モノクロで、表紙にちっちゃく『武蔵美芸術祭』っていう感じで書いてあるだけで。それが僕らはすごく嫌だった。それで、「あれをぶち壊そう」ってなって。

デザインを通じて、世の中に伝えたい価値とは?

田中さん:

BABYMETALの話でいうと、なるべく前面に彼女たちを出さないようにしてる。ライブを見てなんぼっていうところがあるので、なるべく本人たちに遠いというか、かろうじて感じるくらいのものを出していくっていうのをやってます。

 

小杉さん:

ライブがゴールなんですか?

 

田中さん:

そうですね、気持ちいいのはライブが終わった時ですね。

 

藤井さん:

イベンターみたいになってるよね。

 

田中さん:

そうね(笑)。ゴールっていうと、そこかな。

 

藤井さん

そういう意味でいうと、僕は以前、自分がおもしろくないなと思う広告を作っていて。

その時に「これじゃあ、あっという間に歳とるぞ」って。それで、何とか作ったもので笑わせなくてもいいから、何かしら人の感情を動かさないとやってる意味がないなと思って。人の感情が動かないものを作っている暇はないなというか。

だから、そこからは焦っていろいろとやっている感じですね。

 

田中さん:

どうですか、おしゃれ番長は?

 

小杉さん:

(笑)そこが一番難しく、やりがいがありますよね!

 

田中さん:

この3人の中で一般的なデザイナーっていう意味でいうと小杉が近いと思うんだよね。

 

小杉さん:

「新しいことをする=新しい技術」ってなっているのがすごく嫌で。媒体とかいろんな使い方によって、同じ雑誌広告でも違う役割を持てたりとか、まだまだやれることはあるっていうのが実感としてあって。そこを見つけてあげてカタチにできるのが、デザインなのかな。だから、まだまだデザインには可能性があるんだなって思ってます。

 

田中さん:

報道ステーションの映像の時に、それは思った。紙を動かして映像にするとおもしろいって。何か作るたびにいろいろと思うよね。デザインって基本は消費者に消費されるものだから、手に取る人にどう思ってほしいかっていうのをその都度考えてますよね。だから、価値はその都度変わるものなのかもしれないですね。

 

3人のそれぞれの考え方、生き方が垣間見えるお話には、常に会場から笑い声が起こりました。デザイナーの方はもちろん、そうでないお仕事をされているという方も、自分の仕事や人生に通ずるヒントを得ることができたのではないでしょうか?
今後の『デザイン夜話。』に乞うご期待!