2017/06/25(日)15:00〜

“顧客体験”がキーワード!「カスタマージャーニーマップ」を描くことで見えてくるマーケティング施策 — 第二回MARKETERS CAMP TOKYO 加藤希尊さん回レポート

マーケティング分野の第一線で活躍する方々をお呼びして、マーケティング手法を学ぶ第二回MARKETERS CAMP TOKYO。その2回目となる講座&ワークショップが、6月25日に行われました。

 

消費者行動が多様化した現在、マーケティング戦略において必須とも言われているのが、「カスタマージャーニーマップ」。そこで今回は、広告主と広告代理店、両方の経験を持つプロフェッショナルマーケター、株式会社セールスフォース・ドットコムの加藤希尊さんに講師としてご登壇いただき、「2.5時間でカスタマージャーニーマップを描けるマーケターになる!」と題してお話しいただきました!

 

本レポートでは、そもそも「カスタマージャーニーマップ」とは?というお話と、「カスタマージャーニーマップ」の必要性についてのお話をお伝えします。

世界中のマーケターが重要視する“顧客体験”

そもそも、なぜ「カスタマージャーニー」が必要なのでしょうか。

 

セールスフォース・ドットコムでは毎年、世界のマーケターを対象とした調査を行います。今年は、世界11か国3,500人のマーケターに調査を行い、「State of Marketing」というレポートを作成することでわかってきたことがあると加藤さんは言います。

 

この調査では、前提として“マーケティング投資に対する直接的結果に満足していますか?”という質問をした際に「かなり満足をしている」と回答した人をハイパフォーマー、「まあまあ満足している」と回答した人をミドルパフォーマー、「全然満足していない」と回答した人をローパフォーマーと呼び、3つのグループに分けて調査結果を算出しているとのこと。

 

それぞれのグループの比率は、ハイパフォーマーが12%。ミドルパフォーマーが76%。ローパフォーマーが12%とのこと。世界的に見ても、ハイパフォーマーとされるマーケターは少なく、日本でのその割合は特に顕著で10%以下だとも言われているのだそうです。

 

そして、この調査ではローパフォーマー、ミドルパフォーマー、ハイパフォーマーがいくつかの質問にどのように回答しているのか、その傾向やトレンドを見ながら重要な指標を考え、レポートに仕上げているのだと言います。

 

2017年に行われた調査による最新版のレポート「State of Marketing」の結果を一言で言うと、“マーケティングの主戦場は「顧客体験」をどう作っていくか”というところに動いているとのこと。

 

具体的な数字で言うと、“マーケティングの顧客体験競争は、より激しさを増していると思うか?”という質問に「はい」と答えたローパフォーマーは、43%。それに対してハイパフォーマーは86%と約2倍の結果が。

 

また、“マーケティングチームが自社ビジネスにおいて、「顧客体験」を牽引しているかどうか?”という質問にも「はい」と答えたローパフォーマーは、33%。それに対してハイパフォーマーは89%で、こちらの質問に至っては約2.7倍という差が。

 

つまり、結果を出していくためには「顧客体験」を重視していくことが求められることがわかってきたと言います。

では、この「顧客体験」とは一体何なのでしょうか。

 

過去18か月の調査において、64%のマーケティングリーダーは、全ての顧客接点(B to Cで言うと、Web・メール・店舗・コールセンターなど)で一貫した「顧客体験」を提供することを重視していることがわかっています。

 

なぜかと言うと、消費者やビジネスバイヤーはブランド・企業からのコミュニケーションがパーソナライズされていなければブランド・企業をスイッチするとの調査結果が出ているからなのだそう。

顧客の「行動」「接点」「感情変化」を見える化するツール

続いて、「カスタマージャーニー」とは何か、というお話へ。

 

「カスタマージャーニー」をシンプルに定義すると、“顧客目線で、一連のブランド体験を旅に例えた言葉”とのこと。つまり、顧客が企業のブランドを知るところから始まり、商品を購入したり、ブランドから離れてしまったりという、ブランドとの接点を行き来する一連のプロセスを意味していると加藤さんは言います。

 

そして、「カスタマージャーニーマップ」とは、特定のペルソナの今の状態(例 -競合他社の商品を購入している状態)から、望ましい状態(例 – 自社商品を2年3年と愛用し続けている状態)になるまでの道筋を可視化する、顧客視点に基づいた仮説構築手法だと言います。

 

そのスタートからゴールに行くまでの過程で、顧客の「行動」、「接点」、「感情変化」を時系列で把握し、顧客関係を改善するための有効な打ち手を導き出していくとのこと。これまでは、例えばSEO担当者であればユーザーにサイトに訪れてもらうことだけを考えていればよかったのですが、これからはその先の購入に至るまでの接点や、購買後のコミュニケーションといった、プロセスのさらに先の手立てをも考えていくことが顧客体験競争に打ち勝つためには必要となるとのことです。

 

次に、B to CとB to Bのカスタマージャーニーの違いについてお話ししていただきます。

 

加藤さんは、自社がB to Cなのか、B to Bなのかでカスタマージャーニーもかなり違ってくると言います。もちろん、B to Cの場合はペルソナが個人。B to Bと違って顧客との接点が多くなると言います。なので、ここを把握していかないとB to Cのカスタマージャーニーマップは描きにくいということです。

 

それとは対照的に、B to Bの場合は接点(Web、電話、メール、展示会やイベント、営業訪問など)が限られてくると加藤さん。また、対象となるペルソナは企業と、企業に所属するキーマンの2種類をターゲットにしていく必要があり、「ファネル」型の考え方がまだ通用する世界だと言います。

顧客のことを幅広く描くことで、レベルの高い施策を打ち出せる

「カスタマージャーニー」の概念とB to B向け、B to C向けのマップの違いがわかったところで…ここからは、具体的な例を用いてB to Cの場合とB to Bの場合の「カスタマージャーニーマップ」を作ったことで、どのような発見があるのかというお話をしていただきました。

 

B to C向けのカスタマージャーニーマップのペルソナの例として挙げたのは、年収900万円の夫、2歳の子どもを持つ専業主婦。この女性が夏休みの旅行を計画中と仮定して、スライド上で作成したカスタマージャーニーマップについてお話ししてくださいました。

 

この家族が旅行を計画するところから、実際に旅行に出かけ、帰ってきて写真をSNS上にアップしたり、友人にお土産を配ったりというところまでのこのカスタマーの「行動」、「接点」、「感情変化」をマップ化したものを見ると、企業が忘れがちな、旅行後のカスタマーへの「接点」において必要なものが見えてきます。

 

例えば、旅行に行ってきたばかりの時、人は気分が盛り上がっていて「次はどこに行こうかな」と考えるものです。そこに対して、企業は顧客との接点を作っていくこと。それが、顧客体験競争を勝ち抜いていくことにつながると言います。

 

続いて、B to B向けの「カスタマージャーニーマップ」を紹介していただきました。こちらのペルソナは、ネット動画配信企業のデジタルマーケティング担当者。年間予算は1億円以上と仮定して、こちらも詳しく説明していただきました。

 

例えばセールスフォース・ドットコムの場合、カスタマージャーニーマップを描くことによって見えてくる施策としては、まずはニュースリリースを出していくことが挙げられます。それから、「State of Marketing」のような調査・レポートを提供していくことも一つの施策。その他には、ソリューションセミナーとその前の段階の、課題整理のためのワークショップの実施。このように、どの時期にどんな施策をすれば顧客が「カスタマージャーニー」上の次のステージに動いてくれるかということがわかってくるとのこと。

 

ここで重要なのは、顧客のことを幅広く描くこと。そうすれば、一般的なマーケティングを行っている人よりも、多くの施策、レベルの高い施策を生み出すことができるはずだと加藤さんは言います。

 

この後は、実際にセールスフォース・ドットコムがカスタマージャーニーを用いた手法で成功へと導いた3つの企業の事例を詳しく教えていただきました。(事例紹介は、割愛します)

そして、最後にマーケティングに「カスタマージャーニーマップ」を活用する際に重要なことを教えてくださいました。

 

一つ目は、「カスタマージャーニーマップ」の活用の前提として、顧客との付き合い方は経営課題やコンセプトからの落とし込みをしてマップを作成すること。

 

二つ目は、「カスタマージャーニーマップ」を作成・活用する場合、縦割りの組織を部門横断的にまたぐことが大切。なので、日頃から他部署と交流を行い、社全体の課題を集めておくこと。

 

そして、三つ目は、マーケティングテクノロジーの活用において「誰のために」と「やらないこと」を最初に決めることとのこと。参考までに、セールスフォース・ドットコムでは、Marketing Cloudという、マルチチャネルに対応したマーケティング専用クラウドを提供していて、手書きのマップをデジタルで実現することができます。

 

この後は、いよいよ「カスタマージャーニーマップ」を作成するための手法を取得するワークショップを行いました。加藤さん、本日は最後まで丁寧なご指導をありがとうございました!

 

次回は、株式会社オプトのソーシャルメディア事業部部長である野口陽介さんが講師として登場予定。「ソーシャルメディアマーケティング実践講座」と題して、ご指導いただきます。どうぞ、お楽しみに。