2017/04/05(水)19:30〜

企業に勤めながら、好きなこと“も”仕事にして、ハッピーに働く!パラレルキャリア女子という働き方 ― 正能 茉優さん WOMAN CAREER Lab. vol.5

“働き方改革”が叫ばれている今、副業やリモートワーク、フリーランスといった働き方が注目されています。みなさんの中にも、今後のキャリアを見据えて、働き方を改めて考えているという方も多いのでは?

そこで、4月5日に行われたWOMAN CAREER Lab.では、企業に勤めながら副業という働き方を実践されているパラレルキャリア女子、正能茉優さんにご登壇いただきました。

正能さんは学生時代に、地方の商材をかわいくプロデュースするハピキラFACTORYを創業。現在は、ソニーで新商品の開発を行いながら、ハピキラFACTORYの経営もされている「パラレルキャリア女子」です。

なぜ、パラレルキャリアという働き方を選んだのか。また、パラレルキャリアを実現させるための時間の活用方法についてなど、正能さんならではのお考えをお話しいただきました。

今回も、ファシリテーターはCOMPASS編集長・SNSコンサルタントの石井リナさん。正能茉優さん、石井リナさん同世代のおふたりが女性の働き方について熱く語ってくださったトークセッションの様子を、本レポートでご紹介していきます。

今の仕事を続けながらやりたいことも挑戦できる!「副業」という働き方

正能さん:

正能と申します、よろしくお願いします。

平成3年生まれで、この4月から社会人4年目の年が始まったところです。小中高時代は、ずっと読売新聞の子ども記者として活動していました。大学はSFC(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)で、在学中だった2012年に、中身はイケてるのにパッケージがダサい地方のモノをかわいくして発信・販売していくという、ハピキラFACTORYという会社をつくりました。

卒業後は広告代理店に入って、その後、社会人3年目となる2016年の10月にソニーに転職したという感じです。なので、今はハピキラの代表取締役をやりながら、ソニーでも働いています。

 

リナさん:

ありがとうございます。小学校6年生の時から高校卒業まで読売新聞の子ども記者をしていたとのことですが、始めるきっかけはあったんですか?

 

正能さん:

きっかけは、カブトムシとかオニヤンマとか、自然が好きだったこと。

母方の祖母が長野県出身だったこともあり、週末になると長野で過ごすという生活を毎週のように送っていたんです。お庭にいるカブトムシを捕まえて、おうちで飼ったりするのが大好きで。(笑)

そんな自然が大好きな小学生の時に衝撃を受けたのが、地球温暖化などの環境問題のニュースでした。子ども心に「このままだと私の大好きなカブトムシがやばい」と思ったんです。

それで、何かできることはないかなと思っていた時に、北海道の知床半島が世界遺産に登録されて。「知床のジュニア特派員を募集します」という告知が読売新聞に載っていたんです。それを見て、知床に自分が行って、知床の自然の素敵なところを世の中の人に伝えたら、世の中の人が知床のような自然を守ってくれるんじゃないか。そうしたら、私の好きなカブトムシも救われるんじゃないか。そう思って始めたのが、読売新聞の子ども記者でした。

 

リナさん:

へえ~。純粋な気持ちから始まっていたんですね!

 

正能さん:

ねえ。今思うといい話ですよね(笑)。

 

リナさん:

実際には、どんな活動をされていたんですか?

 

正能さん:

7年間の中で、73本の記事を書きました。

イベントに行って取材をさせてもらったり、その時に会いたいと思った大人に会ってお話を聞いたり。やなせたかしさんや石田衣良さん、五木寛之さん…たくさんのイケてる人とお話できたのは楽しかったです。

あとは、映画の試写会に行ってネタバレしないようにあらすじを書いたり。大人記者に見守られながらも、取材依頼からお礼状の作成まで自分でやるので、試行錯誤の7年間でしたね。

 

リナさん:

すごく贅沢な体験をされてたんですね。

 

正能さん:そうですねえ…今思えば、贅沢なんですけどね。当時は編集長が恐くて(笑)、泣きながら記事を書くことも多かったです。

好きなこと、やりたいことを模索していた学生時代

リナさん:

そんな高校生までの経験があって、大学ではどのような勉強をされていたんですか?

 

正能さん:

それ、よく聞かれるんですけど、SFCって、ユーキャンみたいな学校だったんですよね。

歌の授業やデザインの授業もあれば、マーケティングの授業もあるし、プレゼンテーション講座みたいな授業もあるし…。だから、何をやっていたかと聞かれるとわからないけど、気になったことはすべて何でもやっていました。

 

リナさん:

ゼミは入られてたんですか?

 

正能さん:

ゼミはSFCでも経済学部でも入っていました。いわゆる「ダブゼミ」ってやつで、卒論も2本書きました。

経済学部の方では企業とコラボレーションをして、新しいサービスや店舗をつくって、どういう風に人の行動が変わっていくのかという「デザイン思考」とか「行動経済学」といった分野を勉強していました。

大学に行ってる時間以外の時間は、衆議院議員の学生秘書をしたり、恋愛ゲームのシナリオライターをしたりもしていました。けっこう読売新聞の子ども記者を通じて知り合った大人に紹介していただいて、お仕事することが多かったですね。

 

リナさん:

学生秘書って、どんなことをするんですか?

 

正能さん:

えらい議員さんについていって、えらい人との対談を聞く、みたいな…(笑)。

たとえば、議員さんといっしょにシンガポールに行って、シンガポールの初代首相のリークアンユ―さんと対談をしている横でメモを取ったりとか。首相が話しているのを見る機会なんて、なかなかないじゃないですか。その状況をこの目で見れることが超楽しかったです。

 

リナさん:

恋愛ゲームシナリオライターっていうのは?

 

正能さん:

スマホとかでやる恋愛ゲームのゲームのシナリオを書いていたんです。

具体的には、エクセルでAくん、Bくん、Cくん、Dくんという枠をつくって。その4人を使って30話のなかで、どのようにイベントを起こさせて、課金させるかっていうのを決めるわけです。

 

リナさん:

話を聞いていると、学生秘書をやったり、恋愛ゲームのシナリオライターをやったり、いろいろなことをされていますよね。それらの経験は、かけ離れているような気がするのですが、通ずるものはどういったところにあるんですかね?

 

正能さん:

それが、ないんです。やりたいことを手あたり次第やっていたら「何でも屋さん」みたいになってしまって。

だから、いろんなところ行っていろんな活動をしているのに、全然、「正能茉優の価値」が上がらないなと思っていました。軸を探していた、というか。

 

リナさん:

軸は決めず、やりたいことをやられているという感じですか?

 

正能さん:

うーん…今は、「みんなが気づいていない魅力的なものを、それなりの環境とターゲットにあてて、それが誰かの価値になって、結果としてお金にもなる」というのを見つけて実行するのが好きなんです。

だから、それが軸になっています。

ハピキラの仕事をしていて楽しいことは、地方に行くことじゃないし、ぶっちゃけ、地方を救うことに興味があるわけじゃない。みんなが気づいてない素敵なものを、かわいくするのが楽しい。みんなに知ってもらうのが楽しい。売れていくのが楽しい。しかも褒めてもらえるし。だから、好きなことをしているだけなんです。

今、ソニーで所属している社長室直下の新規事業部でも、社内に隠れている基礎技術とか基礎研究とかをみんなが体験したいものにしていくということをやっています。ハピキラでもソニーでもやっていることはいっしょなんですよ。

 

リナさん:

なるほど。大学を卒業後に大手広告代理店に入社してプランナーをやっていたとのことですが、ソニーに転職した理由は何だったんですか?

 

正能さん:

単純に、ハピキラの活動がしにくくなったということです。代理店は「マルチクライアント制」といって、世の中のすべての企業や組織がクライアントになりうるビジネスモデル。だから、ハピキラの活動がどんどん広がるにつれて、ハピキラとの競業の線引きが難しくなってしまったんです。

会社の懐うんぬんというより、マルチクライアント制の会社は、単純に副業がしにくい会社なんだなと気づきました。

そこで、事業領域がはっきり決まっている「事業会社」に行くことにしたんです。副業を認めてくれるような自由な空気があって、なんかイケている会社に行こうと思ってソニーに行きました。

 

リナさん:

ソニーは、そういうところに寛容というか、働きやすさがあるんですね。

 

正能さん:

働きやすいですね。基本的に「やってみてもいいんじゃない?」という文化なので、自由に働かせてもらっています。ありがたい限りです。

その分、ハピキラでの人脈とか、ハピキラで培ったスキルをそのままソニーのお仕事でも活かして、「副業しているからこそ、正能茉優は役に立ってるんだぜ」ということを形にするように心がけています。

ダボス会議の若者バージョンを、との思いで創立した「小布施若者会議」

リナさん:

2012年には、「小布施若者会議」を創立されていますよね。これは、どういうきっかけで創立することになったんでしょうか?

 

正能さん:

私は生まれも育ちも東京なので、特に小布施と縁があるわけではないんです。ただ、私が大学1年生だった2010年、国交省で「まちづくりインターンシップ」というプログラムがあって。全国1,700の自治体に、インターンとして学生を派遣して、民官学連携で地域課題を解決していくプログラムでした。

私の場合、私の大学の先生の知り合いが横浜市に勤めていて、横浜市と小布施町が職員の交換留学をしていたことから、その人が長野の小布施という町に派遣されたんです。大学の先生経由で、その人から声をかけられて行ったというのが、最初の小布施との出会いでした。

今は、「地方創生」という言葉もあって、地方を盛り上げることがブームだけど、当時は「まちづくり」って、ホットな話題じゃなかったんですよ。

当時のまちづくりと言えば、いわゆる都市計画の話が多くて、インターンに集まっている学生は建築系の人ばかりで、道路をどうするかとか、建物をどうするかとかの話ばかりでした。でも、私はまちづくりのことに詳しくないから、道路とか建物の話ばっかりしていることが変だなと思っちゃったんです。

それで、「これだけ学生を集めて、建物や道路の話をしてるのは、つまんないです」と町長に素直に言ってみたんです。そうしたら、町長から「だったら、おもしろいと思うことをやってみなよ」という風に言われて。

その時に浮かんだのが、スイスの「ダボス会議」でした。ダボスという場所は、ダボス会議をやるようになって有名になったものの、それまでは知られていない場所だった。

でも、「ダボス会議」が有名になったことで、ダボスという場所も知られるようになった。だから、ダボス会議を始めた人は、きっとダボスのヒーローなんだろうなと。だったら、「ダボス会議」の小布施バージョンをつくって、正能は小布施のヒーローになるぞ、と。それで始めたのが「小布施若者会議」だったんです。

人口1万人の街に、全国から240人の若者が来て、3日間泊まり込みで議論をする。小布施は今年で5年目の開催なんですけど、小布施以外にも熊本や名古屋、四国や京都など、今では全国8ヶ所で開催されるイベントになりました。参加者が、次の主催者となって活動を広げてくれたおかげで、「地方×若者」のイベントの中では、成功モデルと言われるようなイベントになりましたね。

でも、わたしには不満がありました。それは、イベントに女の子が来てくれないこと。

「どうして女の子が来ないのかな?」と考えた時、私自身が初めて小布施に来た時に、「何にもないじゃん」と思ったことを思い出しました。カフェもないし、かわいいお店もない。飲み屋は8時に閉まるし、クラブもないし。

だから「地方って素晴らしいところよ」とどんなに叫んでも、そもそも興味がない人になんて響かないと思ったんです。だったら、もっと普通の女の子でも興味を持ってくれるような切り口や入り口をつくってあげて、その入り口をきっかけに地方を知ってもらうというパターンの方がよっぽどわかりやすいんじゃないかと。

それで当時思いついたのが、「かわいい」というキーワードでした。めっちゃおいしい「栗鹿ノ子」という小布施の特産品のパッケージをかわいくして、バレンタインに販売することで、たくさんの人に小布施のことを知ってもらおうと思ったんです。

 

リナさん:

ちょっと戻ってしまうんですが、その「小布施若者会議」では具体的にどんなことをするんですか?

 

正能さん:

ここ数年は、「We Prototype The FUTURE」をテーマにやってます。

地方や地域をあくまでも「日本という国全体の縮小版」として捉え、今後、日本で起こりうる社会課題に対して、小布施というミニマムな範囲でソリューションを考えて、実際に実験をしています。

小布施の課題を解決するんじゃなくて、日本全体で起こりうる課題を小布施で解決してみようという考え方です。

たとえば、”これからの一次産業はどうなっていくんだろう“という課題に対して、”JAに頼らない一次産業のあり方を考えていこう“とか。

 

リナさん:

会議をするまでをゴールにしてるんですか?

 

正能さん:

もともとは、会議に人が集まればいいやという軽いノリで始めたんですけど、参加者は本気な人が多くて(笑)。

あくまで会議は入り口。アウトプットを出さなきゃ世の中は何にも変わらないので、今ではアウトプット最重視です。それで、実際に小布施に移住する人が出てきたり、そこからビジネスが生まれたり。なんなら、ハピキラもそこから生まれました。

ハピキラの初商品を売った経験で、怖いものなしに

リナさん:

今行われているハピキラの説明をしてもらえますか?

 

正能さん:

地方にある、中身はイケているんだけどパッケージがダサいものを、パッケージだけをかわいくして発信、販売をしていく。

そのことによって叶えたい、2つの目的が私にはあります。

1つは、地方に興味のなかった若者が地方に興味を持ってくれたらいいなというもの。

もう1つは、地方の老舗企業や中小企業が自分たちの商品は若者に受けないと思っているんです。そういう人たちが、パッケージを変えれば売れるんだと元気になってくれたらいいなと。

最初にプロデュースしたのは、小布施の栗菓子の『栗鹿ノ子』。小布施は、栗菓子が有名なんですよ。しかも、めちゃくちゃおいしい。

でも、もともとの『栗鹿ノ子』は女子大生目線で見たら、パッケージがダサいんです。でも、中身は栗とお砂糖だけを練り上げてつくっているお菓子で、すごくいいのに売れない。だったら、若者がかわいいと思うパッケージにしちゃえばいいじゃんと思ってつくったのが『かのこっくり』でした。『栗鹿ノ子』と『かのこっくり』、中身はまったくいっしょなんだけど、まわりの紙箱だけはかわいいパッケージにして、かわいい箱にした分値段も上げて。

『栗鹿ノ子』っていう名前がよくわからないから、名前も『かのこっくり』に変えて。まあ、もっとわからなくなったような気もするけど(笑)。

それで、「若者に売るなら渋谷だ!」という安直な発想で、渋谷PARCOにお店を出させてもらったのが最初の仕事です。渋谷PARCOでは、バレンタインの時期に10日間で2,000個を売りました。これが大学3年生の2月の話です。

それで、PARCOさんが法人じゃないと契約できないと言うので、しょうがなく法人化したというのが会社設立の経緯でした。

 

リナさん:

しょうがなくだったんですね。(笑)この経験で得たものはありましたか?

 

正能さん:

「大風呂敷を広げて、あとで死ぬ気で回収すればいい」という考え方が、自分の中に埋め込ました。

そもそも、このお菓子、2,000個もつくる予定はなかったんですよ。バレンタインの時期に、かわいいパッケージにした『栗鹿ノ子』を売ろうと思いついたところまではよかったんです。でも、そこからは全部間違っていて。

まず根本的に間違っていたのは、スケジュール感。

バレンタインのお菓子だから、2月号の雑誌に載ることを考えると、年明けに撮影して、1月の中旬くらいには雑誌ができあがって売られるのかなと思っていたんです。でも、そもそも2月号って1月に発売されるじゃないですか。だから、撮影が想定よりも早くて、翌日に撮影があるのに、商品が何もできあがっていないというところまで追い込まれました。

これはやばいということになって、美大の友だちと世界堂という文房具店で材料を買い込んで、今はなき新宿のマックで徹夜でパッケージをつくったんです。それで、翌朝スタジオにそのまま持っていって、雑誌の撮影をしてもらいました。編集さんに「これ、預かってもいいですか?」って言われたんですけど、世の中に1個しかないので返してもらって(笑)。

それで、そのパッケージを持って箱屋さんに行って、量産してもらおうと思ったんです。ここが2つめの間違い。私が「100個つくってください」って言ったら、「2,000個からしかつくれません」って言われました。「お嬢ちゃん、最小ロットって知ってる?」と。

私、この世の中にロットという概念があることを当時知らなくて…。でも、その時100個も2,000個もいっぱいという意味ではどっちもいっしょかなと思って、「じゃあ2,000個お願いします」って言っちゃっいました。これが3つめの間違い。

発売の前日、PARCOの地下の駐車場に2,000個の商品が搬入されたんですけど、見てびっくり。壁から壁まで『かのこっくり』でいっぱいで、これはまじでやばいなと(笑)。

知らないってすごいですよね。今だったら絶対できない。当時は、泣きそうになったし、数回泣いた気もするけど、結局は自分の手で2,000個を売ったという経験があるので、自信になりました。

行き当たりばったりなんて何にも問題ないし、何かあっても大抵のことじゃ死なないし、大風呂敷広げても回収すればみんな怒らない。このあたりのざっくりとした感覚は、この経験があったから自分の中に染み込んでいますね。

 

リナさん:

これは、小布施の方にだいぶ喜ばれたんじゃないですか?

 

正能さん:

これは喜ばれた、というか、認められたという日本語の方が正しいですね。

最初、このプロジェクトをやると言った時には、どうせ若い女子大生だから何もできないだろうというのが現場の意見だったんです。だから、PARCOの搬入の時は、誰も信じてくれてなくて、誰も手伝ってくれなかった。相方とお友達と、準備しました。

でも、結局売り切って、小布施堂さんにご挨拶に行った時には役員の皆さんがお出迎えしてくれて。あー、大人って結果を出せば認めてくれるんだなと思いました。

やりたいことをやる。だから、仕事の範囲は決めていない

リナさん:

その他には、ハピキラでどういうことをやられていますか??

 

正能さん:

(スライドを見ながら)これは、『Japan Omotenashi Collection』というお中元・お歳暮ギフトです。

「地元の人しか知らないおいしいお菓子を都道府県ごとに詰め合わせる」っていう商品になってます。

どうしてこのシリーズを始めたのかというと、お仕事でよく地方に行くじゃないですか。そこで買うお土産がぶっちゃけおいしくなくて。「いやいや、もっとおいしいものあるでしょうよ」と思って地元の人たちに聞くと、もっとおいしいものがあるわけですよ。でも、それが外に出ていかない。だったらそれをちゃんとキュレーションして、発信・販売していきたいと考えて、つくっています。これまで、8つの都道府県でやってきました。

(スライドを見ながら)これは、佐賀県のものなんですけど、佐賀県って、羊羹の年間消費量が日本一なんですよ。小城市という場所に、羊羹の専門店が1つの道に25個もある通称“羊羹ロード”という道があって。地元の人は食感が違うとか、糖度が違うとか言うんだけど、私からしたら全部羊羹(笑)。

でも、その羊羹を全部食べ比べてみると、やっぱり少しずつ違うので、若者目線でおいしいと思うものを選んだんです。それで、『Japan Omotenashi Collection』の佐賀県バージョンはその羊羹と、嬉野茶の和紅茶をセットにしました。これがありがたいことに、めっちゃ売れるんですよ(笑)。

 

リナさん:

ハピキラが行う業務は、どこからどこまでっていうのは決まっているんですか?

 

正能さん:

やりたいことは全部やる感じです。やりたくないことは何もやらない。

先ほどの『Japan Omotenashi Collection』なんですけど、もともとはとんでもないやり方で、かなり工数かけてやっていたんです。たとえば、長野をやるとしたら、「長野_お菓子」ってGoogleで検索して出てきたお菓子屋さんに1軒1軒電話して「ハピキラFACTRYっていう会社をやっていて、こういう企画をやっています。とりあえず、サンプルをください」って。でも、ほとんどのお店に相手にされない。

それで何とか集まった3商品をセットにしてわざわざ箱をつくって売る、ということをやっていたんですけど、大変だなあと思って…。

もう少しいいやり方がないかなと思った時に、都道府県のアンテナショップがあるじゃないですか。あれは、都道府県の流通課・産品課とかがやっているんですけど、彼らは「自分たちの県の産品を売りたいけど、売る場所がない」という。

一方私たちは、「売る場所はあるけど、商品を持っていない」。それなら手を組もうよと。

そこで、まず箱をつくってしまって、「ここに物理的に入る商品しか入れない」と決めました。その箱に入る商品のリストを県の人からもらって、それを自分たちで全部食べて、いいなと思ったお菓子のリストを戻して、それで県の担当者からお菓子屋さんに連絡してもらう。無事商品が完成したら、県知事に表敬訪問して、

地元のメディアに取り上げられて、商品を売っていく。こんな感じで、いろんなことをどんどんフォーマット化して楽にするっていうのは、心がけてるかも。

 

リナさん:

今、ハピキラは何人でやっているんですか?

 

正能さん:

2人です。だって、従業員いらないもん(笑)。

上場したいとか、大企業になりたいとかいう気持ちはなくて、ちょうどいい規模感で、ちょうどよくやれたらそれがいいんです。そういう規模感の会社なので、けっこうゆるくやっています。

 

リナさん:

今までで、会社を経営する中で、失敗はありましたか?

 

正能さん:

失敗はないですね。だって、自分の会社だから誰にも怒られないし。やばいと思ったら、やばくなくなるまでやり続けるだけなので。

 

リナさん:

自分の会社を経営していくことで得ることとか、学ぶことはたくさんあると思うんですけど、変わったことや気づいたことって何かありましたか?

 

正能さん:

人に対して劣等感とかうらやましい気持ちを持っていたこともあったんですけど、ハピキラを始めたことで私にはハピキラがあるからいいや、とか思えるようになったこと。人に優しくなれた気がしますね(笑)。

 

リナさん:

それは、どうして変わったんですかね?

 

正能さん:

やっぱり、自分がやりたいことができる場所がここにはあるし、自分が好きなことをやっているだけなのに世の中がハッピーになって、みんなが認めてくれて、褒めてくれて、それなりにちやほやしてくれているからかな(笑)。

ゆとり世代の自分が目指す道、それはオンリーワンの存在になること

リナさん:

自分の会社を経営しながら、OLとして企業で働く理由はありますか?

 

正能さん:

私は、ミレニアル世代といわれる世代です。私の親はバブル世代なので、「すごく働いて、他のことをないがしろにしてでも仕事で成功すれば万々歳!」という父親と、「その父親と子どもが大切で、おうちのことをしてくれる」という母親。

その2人を見た時に、私はどっちも少し違うなと思っていて。

私たちミレニアル世代は、「仕事も、家族も、彼氏も、友だちも、趣味もすべて65点くらいでいいから、バランスよくやって人生全体で120点取りたい」と思っています。

そういう自分に気づいた時に、社会で今活躍している大人たちよりもたくさん働いて成功するという人生は、私には無理だと思ったんです。

いろいろとやりたいから、仕事にかけられる時間は、バブル世代に比べて短いと。

じゃあ「短い時間しか働かないから、稼ぐお金も少なくていいのか」というと、私、ハンバーガーのアボカドトッピングとかチェダーチーズトッピングとか、したいタイプなんです。ミルクティーも、普通の紅茶にミルク入れたミルクティーじゃなくてロイヤルミルクティーの方が好きなわけ。そう思うと、人よりもちょっとだけお金がかかるんですよ、私の人生。だから、人よりも短い時間で、人よりも稼がないといけない。

だから「自分の1時間あたりの価値をどう最大化するか」を考えることにしました。

そう考えた時、3つの戦略があると思いました。ナンバーワンか、ファーストワンか、オンリーワンか。ナンバーワンは、ゆとり世代の自分は1つのことを一生懸命やることが苦手だと自覚しているし、テスト勉強も全然がんばれなかった。学校で一番を取れなかったら世の中で一番を取るなんて絶対に無理。それでナンバーワンは諦めました。

ファーストワンも、発明とか世の中にないものを生み出す第一人者になるなんて、人類の歴史も長いし、無理かなと。

それで、消去法でオンリーワンかなと。

じゃあ「ハピキラの社長」でオンリーワンの存在になれるのか。なれないと思いました。

私たちの世代って、学生起業が多いんですよ。そうなった時に、いわゆる「女子大生社長」とか「元女子大生社長」っていうだけでオンリーワンの存在として戦っていけるかと思ったら、無理だと思ったんです。そこで思いついたのが、“○○○なのに、社長”という文脈に自分を置くことでした。その○○○は、何でもいいんです、社長との組み合わせでいい違和感を生み出せる存在だったら。

それで、「〇〇○なのにベンチャーの社長もできちゃうの?」と言われるためには、地方の人含めてみんなが知っている会社で、イケてる会社がいいなと。それで、某大手広告代理店に入りました。

それも、その会社にすごく入りたいというわけではなかった。いくつか内定をもらっている中で決められずにいたら、友だちがコースターの裏に内定先の名前を書いてくれて、「引いた会社に行きなよ」と言って。それで、引いたのがその会社だったんです。でも、結果的にすごく楽しかったですね。

 

リナさん:

そこの会社では、具体的にはどんな仕事をしていたんですか?

 

正能さん:

プランナーとして、働いてました。今、どんな商品を、どんなコンセプトで売っていけばいいのか考えるお仕事です。たとえばシャンプーだったら「このシャンプー、髪の毛がツルツルにもサラサラにもなるし、早く乾くんだけど、誰になんて言ったら売れる?」という相談があるとします。

それに対して「今、世の中の潮流というのはこういう風になっていて、意識調査をするとこういう風になっていて、ニーズこうあるから、ここの世代に対してこういうコンセプトで売っていきましょう!」という感じで商品やパッケージ考えて、CMのコミュニケーションコンセプトを考える、というようなことをやっていました。懐かしい!

 

リナさん:

そこでプランナーとして働いていて、得たものや気づきは何が一番大きかったですか?

 

正能さん:

働くことは楽しい、ということ。毎日が「文化祭の前日」みたいでした。

面白いことを考えて考えて、みんなで相談して、つくって。

 

リナさん:それ、すごくいいことですよね。

パラレルキャリアを選ぶ時には、メリットデメリットを知っておくべき

リナさん:

今、正能さんはパラレルキャリアという道を進んでいるわけですが、そのメリットやデメリットをどのように考えられていますか?

 

正能さん:

個人にとっても、企業にとっても、もちろんメリット、デメリットはあると思うんです。そこをしっかりと認識していないとみんなが困ると思います。

個人にとって、メリットは3つあります。

1つ目は「お仕事を選ぶ時、すぐにお金になることにこだわらなくていい」ということ。

やっぱり、専業でハピキラをやっていたら今食べるお金に困っちゃうから、お金になるかどうかということをちゃんと考えてお仕事を受けることになるんですけど、私の場合、ソニーのお給料があるから、そういう基準じゃない。

今私は選んでいるお仕事の基準は、楽しいお仕事、かわいいお仕事、大きいお仕事。すぐにお金になるかどうかには興味がないんです。だから中長期的な目線で物事を考えて、将来こういうことをやりたいから今はこれをやるんだというキャリアの組み方ができます。

たとえば私の場合は、3年後くらいに慶応大学の先生になりたいと思っているんですけど、慶応で先生になるためには中高で授業を持ったことがないとダメらしくて、今とある学校で授業をやらせてもらっているんですが、これは全然お金をもらっていないです。週に1回授業をやっていて、もしこれが専業だったら大変ですよね。

でも、私の場合は3年後に先生になるためにこういうおもしろい経験をさせてもらっているんだと思える。それは大きいなと思いますね。

2つ目のメリットは、「得意先に信用してもらいやすい」ということ。

「ハピキラFACTORYの正能です」っていきなり言っても、みんな「えっ?」ってなるんだけど、「ソニーでも働いていて…」と言った時の、人間としてのまともっぽさ(笑)!

特に、地方の公的な機関と仕事をする時って、ベンチャー企業よりもいわゆる大企業に勤めている人の方がよっぽど信頼があって、契約しやすい。

3つ目のメリットは、「分野を超えて、世の中を変える仲間ができる」ということ。

ハピキラをやっていると、地方大好き人間とか、起業大好き人間と出会うことが多いんですよ。でも、ソニーにいると、今度はテクノロジー大好き人間とか、エンジニアの神みたいな人と出会うことができる。そうなると、1つの会社にいるよりもいろんな環境に身を置いておく方がいろんな仲間ができて、いろんな目線で世の中を変えられる友だちができるんです。実際に、前の広告代理店の同僚といっしょに仕事をしたりもしてます。

 

リナさん:

デメリットは?

 

正能さん:

なにより、「時間の確保とバランス調整」ですね。

ソニーの仕事ばっかりやっていてハピキラの仕事できないとなってしまったら、元も子もないので。「業務領域の重複をどう防ぐのか」ということも難しいですね。

あと地味に難しいのは、「現場の理解をどう得るか」ということ。

役員はそうでなくても、現場は「労働力が必要だ」となってしまうので、そこをどう調整していくのかが難しいなと思いますね。

一方で企業にとってもメリット、デメリットがあります。

メリットでいくと「人脈を活用できること」が一番大きいと思います。ソニーの正能では到底会えない人と会うのが、ハピキラの正能です。

たとえば、ソニーで新しいプロダクトをつくったとして、その中に入れる新しいサービスがほしいということになるとします。ソニーの普通のやり方だとサービスのプロバイダのお問い合わせフォームから連絡して担当者ベースにやりとりすると思うんですけど、私の場合はまずFacebookで社長の名前で検索して、共通の友達を発掘して、そこから紹介してもらったり。

あとは、ソニーでイベントをやる時に、知り合いの著名人、文化人の方々に直接LINEをしてお願いしたり、とか。その方がスムーズなので(笑)。そういうのは、企業にとってもすごく大きいメリットだと思いますね。

2つ目のメリットは、「経験が多いので担当領域以外にも何となく分かる」というのはすごく大きいと思います。

経験が深いわけではないのでプロではないんですけど、ハピキラって営業もするし、デザインもするし、コピーだって書くし、PRプロモーションもするし、販路の開拓もするし、何だってやるんですよ。

そうなると、これをやるにはこれくらい時間と費用が必要という相場感がわかるので、現場でプロジェクトをまとめていく時にどう設計していくかがやりやすい。

逆に企業側のデメリットや課題としては、「就業規則」に関わってくる場面が多いですね。それと、現場の理解をどう醸成していくか。実際に、モデルケースをつくっていくにはどうするかというのが課題だと思いますね。

仕事も遊びもバランスよく楽しむための「人生配分表」

リナさん:

個人のデメリット、課題の部分で、バランスの調整が難しいとおっしゃってましたよね。そのあたりはどうされているんですか?

 

正能さん:

(スライドを見ながら)この「人生配分表」という表をつくっています(笑)。

もともと2014年くらいからつくり始めて更新していたんですけど、今はそこからだいぶ変わって、現在は2015年3月15日につくったものを運用しています。

簡単にいうと、「自分の人生を、何にどれくらい割くか」ということをまとめた表です。

どうしてこんな表をつくったかというと、仕事に一生懸命になるあまり、会食ばかりして家族やお友だちに会う時間がなくなると精神的にくるなと。ある程度会食はしなきゃいけないけど、家族やお友だちと会いたいというのをどうすればいいのかと思ってつくった表です。これを、1週間ごとのGoogleカレンダーに落とし込んで、時間を組んでます。

 

リナさん:

けっこうリアルな感じですね(笑)。このバランスが崩れないように、毎週予定を組んでいる?

 

正能さん:

そう。たまにハピキラと会社員の仕事のバランスが崩れたりすることもあるけど、今月はこういう感じ、という風に臨機応変にしています。

 

リナさん:

パラレルキャリア女子として、複数の仕事をこなすのは難しいと思われる方が多いと思うんですけど、実際にはどうですか?

 

正能さん:

このルールだけつくって、あとは運用していけばいいことなのでそんなに難しくないです。

(この後、ある1日の流れをスライドにして紹介してくださいました)

すごく大変そうだと思われることも多いけど、結構寝れるんですよ。

 

リナさん:

それでも、いろんな人に会ったり、移動が多かったりで大変そうですがそんなことはないですか?

 

正能さん:

そうですねえ…だから、移動時間は減らす努力をしてますね。会社の近くに住んでみたり。打ち合わせはLINE通話とか、会いに来てもらったり。

“ローコストでハイパーハッピー”が人生のモットー

リナさん:

パラレルキャリアを実践する上で、大切にしていることがあるとお聞きしました。

 

正能さん:

はい。3つポイントがあると思ってます。

1つ目は「時間の圧倒的な管理」

これは、そうするしかない。決める、運用、以上。

2つ目は、「周囲の理解」

これについては、時間配分を自分が決めて運用しようと思っても、周りがとやかく言うと崩れそうになるじゃないですか。なので、周囲の理解はある程度必要です。

とは言っても、時間の管理を簡単にできるわけはないので、最後のポイントは「本人の強い意志」

時間の管理とやりたいという意志と、周りがそれを理解してくれるかどうかだと思うんです。これさえできればどんな人でも、どんな仕事環境でも、パラレルキャリアは実践できると思うんですよ。

 

リナさん:

私も今、ベンチャー企業にいてメディアの編集長をしながら、フリーランスとしていくつかコンサルタントの仕事を受けていて、けっこう時間の管理が厳しいなと。

 

正能さん:

大変ですよね。私の活動はすべてFacebookであがってくるので、隠しておくことはしてません。「ハピキラもこういう風にやっていて、それはそれで世の中をハッピーにしてて、ソニーでもそのつながりが役立っている」というところをきちんと伝えていくしかないと思うんですよ。

あとは、ソニーの方でもちゃんと成果を残すこと。でも時間を区切ると、おのずと、ソニーの仕事の効率もよくなるし、その分結果も出やすくなるし、という広い視野で見ると、みんながいろいろ言ってくれるおかげでソニーの仕事もうまくいっていると思えなくもないですね(笑)。

 

リナさん:

今はだいぶ周りの理解も得られてきたな、と思いますか?

 

正能さん:

周りの理解というか、世の中のムードが追い付いてきている感覚です。これだけ働き方改革と言っている世の中での、ある種のブームですよね。ハピキラをつくった時も、「地方をテーマに会社をつくります」って言ったら周りから頭おかしくなったのかと思われたんです。でも、地方創生ブームが来て、みんなも理解してくれるようになりました。世の中のムードがどう動くかによって周囲の理解も変わっていく感じはありますよね。

 

リナさん:

あと、“ローコストで、ハイパーハッピー”というキーワードも掲げられていたと思うんですが、これはどういうことですか?

 

正能さん:

“ローコストで、ハイパーハッピー”は、私の人生のコンセプトです。物事の決め方とか生き様に、基準を持った方がいいと思っていて。ざっくり言うと、あんまり辛い思いはしたくないけど、ハッピーになりたいっていう。

そのためには、やっぱり好きなものとか得意なものだけやった方がいいと思うんです。それ以外のことは、それが得意な人に任せる。そうすると、人生はうまくいくんじゃないかなと思っていて。

上の世代の人は「一生懸命、苦手なことにも取り組め」とか、「やったことのない世界に面白いことがある」とか言いますよね。自分もそう思うならやってもいいんだけど、自分が苦しんでまでやる必要はないんじゃないかなと思っています。

「コストをかければかけるほどすばらしい人間になる」という日本人的な考えもあるけど、私はそうでもないんじゃない?と思っていますね。

 

リナさん:

じゃあ、短時間でお金を稼いで、自分の好きな仕事をして、好きな人と会って…という生活を送りたいっていうことですよね。

 

正能さん:

短時間でできちゃうことって、得意なことや自分の好きなことなので、周りも認めてくれやすい。

その結果としてあくまでもお金をもらっているという感覚です。だから短時間でお金を稼ぎたいというよりは、短時間でちゃんと結果が出せることをしたいなという感じです。

 

リナさん:

すごくいいサイクルですよね。

 

正能さん:

そうですね。私、ハピキラのことを“いつの間にかヒーロー”って呼んでいるんです。

地方創生って「地方のためにいいことをしなきゃ」という思いで地方に関わっている人が多いんですけど、あくまでハピキラは自分の好きなことをしていたら、それが結果的に地方を元気にして、お金にもなる。「結果として地方創生になっている」というのが、1つのポイントかなと。

好きな人と好きな場所で好きに暮らすため、正能茉優の価値を最大化する

リナさん:

今後やりたいことや、ビジョンみたいなものはありますか?

 

正能さん:

それ、よくいろんなインタビューでも聞かれるんだけど、私、本当にそういうのがなくて。

好きな人と好きな場所で好きなように暮らしたい。地面に近い家で、ゴールデンレトリバーを飼いたい。たつたあげって名前の…。

 

リナさん:

(笑)それ、何かの記事に書いてありましたよね。

 

正能さん:

そう、そんな感じなの、人生のイメージは。でも、好きな人と好きな場所で好きなように暮らすには、「正能茉優」の名前でお仕事をもらえるようになる必要があって。だから、あと数年がんばって働いて、どこかに行きたくなったらどこかへ行くし、誰かといっしょにいたくなったら誰かといっしょにいて、それでも常に好きなことで働ける人生になったらいいなと思っています。

上場とかの目標はないです。でも「正能茉優」の価値を最大化して、ちゃんと自分が思い描く働き方、生き方にたどりつくといいなと思っています。

 

リナさん:

じゃあ今後、今のお菓子のパッケージを変えてという仕事じゃなくて、私はこれの方が得意かもしれない、というようなものが見つかったら、そういうのもやっていく?

 

正能さん:

そう、全然オッケー。私、これを“ビュッフェキャリア”と呼んでいるんですが、ホテルのビュッフェみたいに好きなものを好きなバランスでやったらいいんじゃない?と思っていて。

好きなものを好きなバランスで食べるように、働きましょうと。

いろんなものが並んでいる中でやっぱりカレーがおいしそうだなと思ったら、カレーだけ食べている人生もありだと思うんです。だから、サラリーマン1本でもいいと思うし、ベンチャー社長1本でもいいと思う。そこは自分の意志で決めればいいと思うんだけど、そろそろパスタも食べたいなと思っているのにカレーばっかり食べる人生は寂しいなと思っているので、パラレルキャリアもいいかなって。

私の場合は、カレーもパスタも食べたいからハピキラもソニーもやっていますけど、もしかしたら気が変わってドーナッツも食べたいと思って何かを始めるかもしれない。カレーがお腹いっぱいだと思ったら、ソニーかハピキラを辞めるかもしれないし。

 

リナさん:

これは個人的な質問なんですけど、ロールモデルみたいな人はいますか?

 

正能さん:

いない。「THE この人になりたい」というような人はいないんですけど、読売新聞の子ども記者をやっていた時に会ったイケている大人たちの「この人のこの部分はイケてるな」というパーツはたくさんあります。

それらを全部真似して、自分の人生にも取り入れていきたいかな。

 

リナさん:

私はメディアをやっているので取材することも多いんですけど、若い正能さんのような方に「ロールモデルはいますか?」と聞くと、みんな「いない」って言うんですよね。

 

正能さん:

いないよね。

 

リナさん:

私もいないので、それがこの世代の特徴のような気もしているんです。

 

正能さん:

そうだと思いますね。だって、働き方とか生き方の過渡期だから、しょうがないよね。

最初の話に戻りますけど、私はみんなが気づいていないいいものを発掘してきて、それなりの環境やターゲットにあててみんなによろこばれるような存在にして、結果的にお金に換えるということが好きなんですよ。

でもこの話をすると、「じゃあビジネスが好きなの?上場したいの?」みたいな話になりがちですが、それはそうでもないなと。

 

リナさん:

何かものをつくりたい?

 

正能さん:

はい。ものをつくりたい、事業をつくりたい、ものを動かしたいという気持ちは強いですね。

 

リナさん:

今後会う人や環境によって、今後やっていくことも変わっていきそうですね。

 

正能さん:

全然変わっていくと思います。

最近、花を咲かせられる「はなさかじいさん」みたいになりたくて。ソニーに入ってびっくりしたのは、世の中の技術ってけっこうすごいんですよ。「そんなことができるの?」っていうものがけっこうあって。蹴り倒しても倒れないバイクとか、すごくないですか?

それがどんどん進んでいって、いつか花を咲かせられる技術とかはできないかなって。そういうテクノロジー系の仕事で声をかけてもらったりしたら飛びつきたいですね。

 

リナさん:

うちの会社のエンジニアもすごく優秀で、ほしいものをけっこうつくってくれるので、楽しいですね。

 

正能さん:

楽しいですよね。つくれる人はすごいですよね。

そうなると、私はつくれない人なので。アイデアだけあって「こういうのをつくってくれませんか?」とか。あとは、つくったものに対して「こういう風に売ったら売れるんじゃないですか?」とか。

それを今までは地方の仕事しかやってこなかったけど、これからはもう少しテクノロジーとかソニー寄りになっても面白いなって思ってます!

 

 

こうして、約90分のトークセッションが終了しました。石井さんも会社員とフリーランスという2つの顔を持って働いている1人ということで、おふたりの中で共有できる感覚もあったようです。

みなさん、今回もおもしろい貴重なお話が盛りだくさんだったWOMAN CAREER Lab.はいかがでしたか?今後の働き方、生き方のヒントとなるものをつかめたのではないでしょうか。

次回はついに、最終回!Pomalo株式会社でCCOを務められている澄川恭子さんにご登壇いただきます。トークテーマは、「自分のスキルを時代に合わせて、キャリアアップさせる発想転換術」。ぜひ、次回のレポートも参考にされてみてください。